台湾初のデジタル担当相 退任のオードリー・タン氏を単独取材

AI要約

新政権が発足し、退任したデジタル担当相のオードリー・タン氏がインタビューで、日本への感謝や多様性の重要性について語る。

タン氏はデジタルを活用したコロナ対策やフェイクニュース対策を行い、多様性と協力の重要性を強調する。

AI技術を活用して民主主義を維持し、公平な社会を築くための取り組みを行ったタン氏が、今後も国際的な協力を図る意向を示す。

台湾初のデジタル担当相 退任のオードリー・タン氏を単独取材

 台湾で20日、新たな政権がスタートしました。前の蔡英文政権で台湾初のデジタル担当相を務め、今回退任したオードリー・タン氏がANNの単独インタビューに応じました。

「(4月に台湾東部で発生した地震で)慰問の言葉や義援金など、多大な協力をいただいた日本の皆さまに感謝したい」(オードリー・タン氏、以下同)

 オードリー・タン氏(43)は2016年、台湾では最年少となる35歳の若さで日本の大臣にあたるポジションに起用され、デジタルを駆使したコロナ対策やフェイクニュース対策が世界からも高く評価されました。

「(フェイクニュース対策のため)例えば、わたしは2年前にディープフェイク技術を使ったわたしの動画を生成AIで作成しました」「平和なときに有事に備えていれば、たとえ生成AIが氾濫しても混乱することはありません」

 地震などの自然災害やインターネット上における様々な脅威に対応するために、「備えること」が必要だと語るタン氏には、もうひとつ大切にしている概念があるといいます。

「私たちはひとつになり、偏見を捨て、異なる文化やイデオロギーを超えて協力することができると思います。このような概念をわたしは多様性(Plurality)と呼んでいます」

 タン氏は、多様で異なる文化や価値観を持った人々が集まり協力してこそ、民主主義は前進すると強調しました。

「みんなが同じ方向に移動するとき、わたしはいつも遅れていました。この経験が『誰も取り残されるべきではない』という考えにつながっています」

 先天性の心臓病を抱え、幼少期に転校を繰り返したことで覚えた「取り残されている」という感覚が、現在の「誰ひとり取り残さない」社会を目指す原点です。

「たとえAIやサイバー攻撃などがあったとしても、AI技術を活用することで民主主義を維持し、深化させるための技術的なツールも開発しています」

 新政権の発足に伴い、デジタル担当相から退任するタン氏は、ヨーロッパや日本などの民主国を回り、サイバー攻撃や公平な選挙をおびやかすフェイクニュースから市民を守る方法を共有したいとしています。(ANNニュース)