米初の黒人宇宙飛行士…人種差別に破れた夢、90歳になって宇宙へ

AI要約

米国初の黒人宇宙飛行士候補だったドワイト氏が、90歳でブルーオリジンの有人宇宙船に搭乗し、宇宙飛行を果たした。

ドワイト氏は人種差別により宇宙飛行士の夢を諦めざるを得なかった過去を持ち、60年以上を経て今回の飛行で最高齢宇宙飛行士の記録を打ち立てた。

ブルーオリジンが再開した宇宙飛行事業では、搭乗客6人がカーマン・ラインを超え、宇宙空間に到達した。

米初の黒人宇宙飛行士…人種差別に破れた夢、90歳になって宇宙へ

航空宇宙企業「ブルーオリジン」が2年ぶりに打ち上げた有人宇宙船が宇宙を飛行した後、地球に無事帰還した。この宇宙船には、米国初の黒人宇宙飛行士になるところだったが、人種差別にぶつかって実現できなかった元パイロットも搭乗していた。

18日(現地時間)、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やAFP通信などによると、今年90歳のエドワイト氏は、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙探査企業「ブルーオリジン」が19日(現地時間)に打ち上げた有人宇宙船に搭乗した。

ドワイト氏は1960年代に宇宙飛行訓練を受けた最初の黒人宇宙飛行士候補だった。ミズーリ州カンザスシティで生まれ、1953年に米空軍に入隊したドワイト氏は、9年後に宇宙飛行士になるために空軍「宇宙研究パイロット学校」に入った。

訓練を受けている間、ドワイト氏は最初の黒人宇宙飛行士候補としてマスコミと世間の注目を浴びた。米国の黒人社会で広く読まれた雑誌「ジェット(Jet)」と「エボニー(Ebony)」の表紙を飾ったりもした。

ドワイト氏は訓練プログラムを終えた後、宇宙飛行士になるために米航空宇宙局(NASA)に志願したが、NASAが1963年に発表した14人の宇宙飛行士リストにドワイト氏の名前はなかった。

当時、ジョン・F・ケネディ大統領政府は、少数人種の国民も宇宙プログラムに参加できるように促していた。しかし、1963年にケネディ大統領暗殺事件が発生し、ドワイト氏は夢をあきらめてしばらくして除隊した。

その後、ドワイト氏はパイロット学校で人種差別を経験したと明らかにした。2023年ドキュメンタリー『宇宙へ ~冷戦と二人の天才~』で「私の希望はどんな形であれ宇宙に行くことだったが、彼らはそうさせなかった」として「すべてが平等だったとすれば、私は月に行っただろう。能力はあったが、チャンスをもらえなかった」と打ち明けた。

黒人初の宇宙飛行士は、それからさらに20年が経った1983年になってようやく登場した。1978年、スペースシャトルプログラムに選ばれた3人の黒人のうちの1人であるギオン・ブルーフォード氏だった。

夢をあきらめた後、約60年が経った後に実現されたドワイト氏の今回の宇宙飛行は非営利団体「スペース・フォー・ヒューマニティ」の後援で実現した。この団体のアントニオ・フェロナス専務理事は「私たちは数十年前にやるべきだったことを正すのに役立っていると感じる」と話した。

同時に、90歳のドワイト氏は今回の飛行で最高齢宇宙飛行士の記録を立てた。既存の最高齢宇宙飛行士は2021年10月、ブルーオリジンの宇宙船に乗った俳優ウィリアム・シャトナーさんだったが、ドワイト氏はシャトナーさんより誕生日が約2カ月早い。

今回の飛行で搭乗客は地球と宇宙の境界と呼ばれる高度100キロの「カーマン・ライン」を越え、105.7キロ上空まで届いたとブルーオリジン側は明らかにした。搭乗客はドワイト氏を含めて6人で、ブルーオリジンが宇宙飛行事業を再開したのは2022年ロケット爆発事故以来2年ぶりだ。