FRB大幅利下げ 物価抑制から雇用下支えに軸足、大統領候補も議論

AI要約

FRBが0.5%の大幅利下げを決定し、物価抑制から雇用支援に軸足を移す方針を明らかにした。

コロナ禍からの政策転換として、FRBがインフレ抑制からゼロ金利政策を採用し、利下げを実施した経緯が説明されている。

トランプ前大統領がFRBの対応に批判的な姿勢を見せ、大統領選を巡る攻撃材料にしている状況が描かれている。

FRB大幅利下げ 物価抑制から雇用下支えに軸足、大統領候補も議論

【ワシントン=坂本一之】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は18日、0・5%の大幅利下げを決定し、最優先にしてきた物価抑制から雇用の下支えに軸足を移した。物価高を抑えながら好調な経済を維持したいFRBだが、11月の大統領選でも「経済・物価高」は争点となっていて、FRBの対応についても議論になっている。

■コロナ禍からの政策転換

FRBは今回、新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響を軽減するために事実上のゼロ金利政策を導入した2020年3月以来となる利下げを決めた。

米経済はコロナ禍からの回復を図る中で物価高に直面。22年6月の消費者物価指数の伸びは前年同月比で9・1%に達し、約40年半ぶりという記録的な物価高騰に市民から悲鳴の声が出た。

FRBは22年3月にゼロ金利政策を解除して利上げを開始。同年6月からは通常の利上げ幅の3倍となる0・75%の利上げを4会合連続で実施するなど、異例の対応でインフレ抑制を図った。

今年8月の消費者物価指数は2・5%上昇と、FRBが目標に掲げるインフレ2%に近づいている。FRBのパウエル議長は、インフレ抑制を重視した金融引き締め政策からの転換を図り利下げに踏み切った。

■トランプ氏は攻撃材料に

パウエル氏は18日の記者会見で、「労働市場が予想外に減速した場合、より迅速に利下げすることで対応する」と指摘。雇用や景気の悪化を回避するため、経済動向を見極めて柔軟に対処していく姿勢を強調した。

FRBの対応を巡っては、共和党の大統領候補のトランプ前大統領が支持拡大を図ろうと発言を繰り返している。

トランプ氏は18日、大幅利下げの決定に関し「経済が非常に悪いことを示しているのだろう」と記者団に語った。

民主党候補のハリス副大統領が現政権のナンバー2であることから、有権者の不満が強い物価高や経済問題への責任をあぶり出す戦略だ。

またトランプ氏は今年2月、利下げは民主党側の助けにつながるとの認識を示し、7月には大統領選を前に利下げすべきではないとFRBを牽制したこともある。