ドイツがすべての隣接国との国境検査を再導入、EU域内の移動の自由が後退

AI要約

ドイツ政府は16日、フランスやオランダなどとの国境での検査を再導入した。不法移民や国境を越えた犯罪への取り組みだけでなく、極右や野党の保守勢力への支持拡大を防ぐ狙いもあると指摘されている。

新たな国境検査には近隣諸国の激怒が広がっており、貿易への影響や不法移民の増加など懸念されている。

国境検査はフランス、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、デンマークとの地上の国境で半年間の予定で実施され、ポーランド、チェコ、オーストリア、スイスとの国境でもすでに実施されている。

ドイツがすべての隣接国との国境検査を再導入、EU域内の移動の自由が後退

ドイツ政府は16日、フランスやオランダなどとの国境での検査を再導入した。今回の入国管理強化は、不法移民や国境を越えた犯罪への取り組みの一環。だが一部からは、州および連邦政府選挙を前に、極右や野党の保守勢力への支持拡大を防ぐ狙いもあるのではと指摘する声も出ている。

フランスからバスに乗って入国した観光客全員をチェックするドイツの国境警察――。

独政府は16日、西部および北部で国境検査を暫定的に再導入した。不法移民や国境を越えた犯罪への対応だと説明している。

ポーランドと国境を接するフランクフルトのこちらの住民は、政府の対応を評価する。「ここ国境地域では犯罪が蔓延しているので、とても良いことだ」と女性は述べた。

小規模だが、国境管理に抗議する人の姿も見られた。このプラカードには「亡命は人権だ」と書かれていた。

ドイツは欧州の中心に位置し、9カ国と国境を接している。そのためドイツが国境検査を行えば、欧州連合(EU)の主要な柱の1つである域内の移動の自由が後退する。ルクセンブルク国境では、独政府の方針に賛成の声はほとんどなかった。ある男性は「通勤者に大きな影響を与えるし、時代遅れだ。本当に捕まえるべき人を捕まえられているのか疑問だ。役に立つというよりも迷惑だ」と不満を述べた。

新たな国境検査に近隣諸国は激怒。不法移民が自国に押し寄せることに警戒を強めているほか、貿易への影響を懸念している。ポーランドのトゥスク首相は、他の関係国との緊急協議を呼びかけた。

検査はフランス、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、デンマークとの地上の国境で当初半年間の予定で実施される。

こうした検査はすでにポーランド、チェコ、オーストリア、スイスとの国境で実施されている。ドイツのフェーザー内相は、昨年導入した規制により3万人超の不法入国を阻止したと成果を強調。そのため今回の規制拡大を決定したと述べた。