「台湾有事」見据えた米国の軍事戦略に唖然 日本のミサイル部隊「米国の盾」

AI要約

日本が米国のミサイル基地と化していた背景について明かされる。

陸上自衛隊の「南西の壁」構想に関する米国の研究結果が紹介される。

「南西の壁」が台湾有事において中国のA2/AD能力への対抗戦略として活用される可能性が示唆される。

「台湾有事」見据えた米国の軍事戦略に唖然 日本のミサイル部隊「米国の盾」

知らぬ間に「米国のミサイル基地」と化していた日本

日本にとっての「最悪のシナリオ」とは?

政府による巧妙な「ウソ」とは一体…?

国際情勢が混迷を極めめる「いま」、知っておきたい日米安全保障の「衝撃の裏側」が、『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。

※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。

そんな中、陸上自衛隊の「南西の壁」構想に注目する人たちが現れます。

2012年4月、米海軍大学の2人の教授(トシ・ヨシハラ、ジェームズ・R・ホームズ)が、「アメリカ流非対称戦争」と題する論文を発表します。

論文は、地対艦ミサイルで中国海軍の南西諸島への接近を阻止する陸上自衛隊の「南西の壁」構想に注目し、これによって「東シナ海の多くの部分を中国水上艦部隊にとっての行動不能海域とすることができる」と指摘しています。

重要なのは、この論文が主に想定しているのは台湾有事だということです。

これらの島々(南西諸島)は、黄海・東シナ海と太平洋の外洋を結ぶ重要な海上交通路にまたがっている。人民解放軍海軍は、台湾の脆弱な東海岸に脅威を与え、かつ戦域に集結する米軍に対処するためには、琉球諸島(南西諸島)を隔てる狭い海峡を通過しなければならない。(中略)この諸島の戦略的な位置は、中国に対して形勢を逆転するチャンスを米国と日本に与えている。島々に独自の接近阻止・領域拒否部隊を配備することで、米国と日本の防衛部隊は、中国の水上艦・潜水艦・航空機の太平洋公海への重要な出口を完全に閉ざすことになるだろう。(米海軍協会『プロシーディング』誌、2012年4月号)

南西諸島全体に地対艦ミサイル部隊をはじめとする日米の部隊を配置すれば、中国軍にとっての太平洋への出口を封鎖し、同軍が台湾を東海岸側から攻撃したり米軍の台湾への接近を妨害したりする行為を阻止できるというのです。

また、中国軍がこの封鎖を破ろうとした場合、南西諸島の広大なエリアに分散展開した日米の地対艦ミサイルの移動式発射機を見つけ出し攻撃・無力化しなければならないので、中国軍に大きな負荷とリスクを課すことができるとも指摘しています。

このように、「南西の壁」は台湾有事でも使えると主張したのです。

米陸軍の委託を受けて中国のA2/AD能力への対抗戦略を検討したシンクタンク「ランド研究所」も2013年、「西太平洋における地対艦ミサイルの採用」と題する報告書を公表し、同じような構想を提言します。