イランがロシアに弾道ミサイル供与、ウクライナで「数週間以内に」使用の公算と米国務長官

AI要約

米国務長官は、ロシアがイランから弾道ミサイルを受け取り、ウクライナで使用する可能性が高いという懸念を表明。弾道ミサイル供与により欧州の安全保障が脅かされていると警告。

英仏独はイランによるロシアへのミサイル移転を非難し、対イラン制裁の追加を発表。イランはロシアへのミサイル供与を否定し、西側諸国の行動を批判。

欧米はイラン航空などを制裁し、ロシア船舶や個人に追加制裁を科した。イラン外務省は対抗措置を取る姿勢を示している。

イランがロシアに弾道ミサイル供与、ウクライナで「数週間以内に」使用の公算と米国務長官

ブリンケン米国務長官は10日、ロシアがイランから弾道ミサイルを受け取っており、数週間以内にウクライナで使用する公算が大きいという認識を示した。ロシアとイランの協力は欧州全体の安全保障を脅かすとも警告した。

英仏独の3カ国も、イランによるロシアへの短距離弾道ミサイル移転を強く非難。米欧ともにイラン航空などを対象に追加制裁を科すと表明した。英仏独はイランとの航空協定を停止した。

イラン外務省のカナーニ報道官はロシアへのミサイル供与を改めて否定し、こうした報告は西側諸国のイスラエルに対する「違法な」軍事支援を隠すための「見苦しいプロパガンダ」に過ぎないとの見方を示した。

ブリンケン長官は、ラミー英外相とウクライナの首都キーウ(キエフ)を11日に訪問する。長官は訪問に先立ち、記者団に対し、ロシアへ弾道ミサイル供与が「重大なエスカレーション」になると、米国がイランに非公式に警告したと明らかにした。

ブリンケン氏は、同盟国などと共有されている情報に言及し、「ロシアはこれらの弾道ミサイルを積んだ輸送品を受け取っており、数週間以内にウクライナ国内でウクライナに対して使用する可能性が高い」と述べた。

イランのミサイルがより近い標的に対し使用できるため、ロシアは自国の兵器をウクライナの最前線からより遠い標的への攻撃に使用できるようになるとも指摘。「こうした展開とロシアとイランの協力関係の強化は欧州の安全保障を脅かし、イランの不安定化の影響が中東をはるかに超えて及んでいることを示している」と警鐘を鳴らした。

ブリンケン氏によると、イランは数十人のロシア兵士に対し、射程距離が最大121キロの短距離弾道ミサイル「ファス360」の使用訓練を実施している。

また、ロシアはイランが求めている技術を共有しているとし、「核や宇宙関連の情報などが含まれ、双方向的な動きだ」と述べた。

<欧米、相次いで制裁発表>

米国は、イランからロシアへの兵器移転に関与が疑われるロシア船籍の船舶9隻を特定し、制裁対象に指定した。すでに制裁対象としているイラン航空のほか、ロシアとイランの軍事協力への関与が疑われる企業や個人にも追加制裁を導入。イランおよびロシアに拠点を置く9団体と10人の個人に対する制裁を科した。

これとは別に、英国は7件の対イラン制裁、3件の対ロシア制裁を発表。欧州連合(EU)も「強力」に対応すると表明した。

イラン外務省のカナーニ報道官は通信アプリ「テレグラム」への投稿で「欧州3カ国の行動はイラン国民に対する西側諸国の敵対政策と経済的テロリズムの継続であり、イランが相応の対応を取る」と述べた。