「米短期国債を買って放置」の時代は終わった…JPモルガンが投資戦略の変更を推奨(海外)

AI要約

FRBが金利引き下げる影響、JPモルガンの投資提案

短期国債の利回りの見通しと投資家への勧告

長期国債や大型株への注目、投資方針の変化必要性

「米短期国債を買って放置」の時代は終わった…JPモルガンが投資戦略の変更を推奨(海外)

連邦準備制度理事会(FRB)が金利を引き下げれば、短期国債の利回りは低下するだろう。

JPモルガンは、今後18カ月間で3カ月金利が5.4%から3.5%に低下すると指摘している。

JPモルガンは投資家は長期債と大型株に資産を振り向けるべきだと提案している。

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め政策による高利回りによって短期国債が普及したが、これ以上「米国短期国債を購入し、その高い利回りを享受しながらリラックスして過ごす(T-bill and chill)」という投資戦略には頼ることはできないとJPモルガン(JPMorgan)は述べている。

「短期国債とは数週間から1年以内に満期を迎えるもので、高い金利を享受したいと考える受動的投資家の投資先として定番となっている。短期国債は金融の引き締め政策に敏感に反応するため、2022年以降、利回りは5%を超えて上昇している。

しかし2024年9月に利下げが迫っているため、投資家は利回りの低下に備えるべきだとJPモルガンは記している。同行は今後18カ月で3カ月物国債の金利が5.4%から3.5%に低下すると予測している。もし経済が予想以上に減速する場合、この利回りはさらに急激に低下する可能性があるとアナリストは付け加えている。

それでも、投資家にとって短期債に資金を預けるという習慣をやめるのは難しいかもしれない。

ブルームバーグ(Bloomberg)によると、短期債に投資するマネーマーケットファンド(MMF)は2024年8月だけで1060億ドル(約15兆3497億円)を受け取り、総資産は過去最高の6.24兆ドル(約903兆6050億円)に達している。

それでもJPモルガンは、投資家にポジションを変更するよう提案している。

短期国債は金利が低下すると長期国債のパフォーマンスを下回る歴史があり、トレーダーたちは短期国債のような現金同等物に固執することで他の機会を失う可能性がある。

「投資家は債券で魅力的な利回りを獲得する機会を逃していない。コア債権の利回りは依然として4.4%だが、そのチャンスは急速に狭まりつつある」とアナリストは書いている。

「2024年のこの夏に見られたように、今日あるものが明日にはあっという間に消えてしまうこともある。例えば、満期が2年の債券の利回りは2カ月足らずで0.85%低下した」

JPモルガンの投資ポートフォリオの再調整に関するアドバイスは経済の方向性に基づいている。投資家は新たな戦略を取る前にFRBが利下げを行う理由を見極める必要がある。

「景気後退に対処するためにFRBが政策を緩和する場合、投資家はアメリカの大型株と成長株に注目すべきだ。国際株やバリュー株、小型株は通常、最も影響を受けやすいと言われている」とJPモルガンは言う。

債券では投資適格債に注目すべきだという。長期債は通常良いパフォーマンスを発揮するが、高利回り債はマイナスのリターンになる可能性がある。

FRBが金融緩和しつつ、ソフトランディング(大きな景気後退を引き起こすことなく低インフレを実現すること)を狙う場合、大型株のリターンは通常、小型株の2倍になる傾向がある。一方、アメリカのグロース株(成長株)とバリュー株(割安株)のパフォーマンスは似たようなものとなり、リスク資産や高利回り債はプラスのリターンをもたらす可能性がある。