エヌビディア株の売りシグナルは市場サイクルの転換を示している（海外）

エヌビディアの株が「売り」のシグナルを発しているとベテランストラテジストのビル・ブレインが指摘している。

ブレインは売却を検討すべき理由として、エヌビディアの企業価値の高さや裕福な従業員たちを挙げている。

同氏はエヌビディアの株価の急騰は、数十年にわたる市場サイクルのピークを示していると述べている。

ベテランストラテジストのビル・ブレイン（Bill Blain）によると、エヌビディアの株は投資家に大きな「売り」サインを発しているという。

ウィンドシフトキャピタル（Wind Shift Capital）の創業者で、長年の金融ストラテジストであるブレインは、2024年9月3日のメモで、「エヌビディア（Nvidia）の非常に高い評価額により、同社の多くの社員がかなり裕福になっている」と指摘している。彼は、エヌビディアで働く人の40％が純資産100万ドル（約1億4500万円）から2000万ドル（約29億円）であり、37％の人が2000万ドル以上だという最近の調査に言及している。

ブレインによると、「実際の日常的な経済的プレッシャーを感じている」状況にいるのは、エヌビディアの社員の3分の1以下だという（つまり3分の2の社員は経済的プレッシャーをまったく感じていない）。

「エヌビディアの4分の1の『貧しい』人たちが、自分の富と地位を守ろうとするすでに裕福で人たちのために、本当に全力を尽くすと思えるだろうか。彼らはエヌビディアの株価がさらに700%上昇すると考えているだろうか。彼らは同僚や上司に比べて極端に貧しいままで幸せだろうか。それとも会社内に莫大な富があるため、貧しくとも意欲的な人たちは、他の場所の方が富を得るチャンスがあると考えるだろうか」とブレインは書いている。

ブレインは「エヌビディアの莫大な評価額は株式市場全体のピークを示す兆候でもある」と述べている。投資家たちは今後1年間の大胆な利下げを期待しているが、アメリカ連邦準備制度理事会（FRB）による金融緩和は「限定的」なものにとどまる可能性が高いとし、「4％から6％の金利が市場の新しい標準となるだろう」と彼は予測している。

「2024年9月末にFRBが約束した利下げが市場に無限の喜びをもたらすと考えている人もいる（私はそれが実際には『売り』のタイミングになるかもしれないと考えている）」とブレインは述べている。「そして私を含めた多くの人が、過去40年間にわたって続いたインフレ圧力の低下を逆転させる新たな長期経済サイクルが始まると信じている」

ブレインによると、1970年代はインフレで経済的に困難な時期だったが、1980年代以降インフレ率は徐々に低下していき、市場は現在の長期的なサイクルに入ったという。彼は地政学的緊張やコモディティ、そして増大するアメリカの債務残高からくるインフレ圧力を指摘し、市場は早ければ2025年にも新たなサイクルに入る可能性があると示唆している。

「我々は市場の頂点にいることを確認し、エヌビディアを売る最良の理由が見つかった。次に何が起こるだろうか。各国が将来の戦略的資源を確保しようと奮闘する中で、20年間のインフレ、金利上昇、世界的な長期間にわたるコモディティ・スーパーサイクル（コモディティの価格上昇期）が始まるのではないか」と彼は付け加えている。

他のストラテジストたちも、物価上昇率が2022年のピークから下降傾向にあるにもかかわらず、インフレ圧力が続くと警告している。以前、ブラックロック（BlackRock）のストラテジストたちは、原油価格の急騰やアメリカ経済において需要が供給を上回るリスクを指摘し、インフレが再燃する可能性があると予測している。