フランス首相候補にボーデ氏浮上 政府の諮問機関議長 仏報道

AI要約

フランスのマクロン大統領が新首相に経済社会環境評議会の議長を起用検討中。

起用候補のティエリー・ボーデ氏は左派寄りで、環境問題や性的少数者の権利支持の立場。

首相指名で左派連合、中道与党などによる連立政権の樹立が検討されている。

フランス首相候補にボーデ氏浮上 政府の諮問機関議長 仏報道

 フランスのマクロン大統領が、選出が難航している新首相に政府の諮問機関「経済社会環境評議会(CESE)」の議長を務めるティエリー・ボーデ氏(62)の起用を検討していることが明らかになった。仏メディアが2日、大統領周辺者の情報として一斉に報じた。

 フィガロ紙などによると、ボーデ氏は1984年にノルマンディー地方カーンで小学校教師としてキャリアをスタートさせ、その後は企業の共済組合などで経験を積んだ。2016年から21年まで、共済組合全国連合の会長を務めていた。21年から議長を務めるCESEでは、環境問題や安楽死などの議論をリードしてきた。

 政治的には左派寄りとみられる。極右政党「国民連合」に反対の立場で、X(ツイッター)では移民の規制を強化する法律に反対するパリのデモに参加したことを明らかにした。また、LGBTQなど性的少数者の権利を支援する立場の発言をしている。

 フランスでは、首相の指名権は大統領が持つ。議会の不信任案で政治が停滞するのを防ぐため、議会最大グループから首相を指名するのが慣例となってきたが、政治家以外を指名する選択肢もある。

 6~7月の国民議会(下院、定数577)選では、社会党、共産党、急進左派「不服従のフランス」(LFI)などで構成する左派連合が182議席でトップに立ったが、過半数には達しなかった。

 マクロン氏はLFIの政権入りに難色を示しており、LFIを除く左派連合と、国民議会選で2位に入った中道の与党連合などによる連立政権の樹立が取りざたされている。

 首相指名に向け、マクロン氏は8月末から各政党の代表者をエリゼ宮(大統領府)に招いて会談しており、9月2日はオランド前社会党政権で首相を務めたベルナール・カズヌーブ氏と、中道右派・共和党出身のグザビエ・ベルトラン元労働相と面会した。カズヌーブ氏、ベルトラン氏も仏メディアで有力な首相候補として名前が挙がっている。【ブリュッセル宮川裕章】