中国「仲介外交」活性化 ミャンマーでも乗り出すも実効性には疑問符

AI要約

中国が仲介外交を活性化し、パレスチナやウクライナで和平を促進している。パレスチナでは14派の代表を北京に招き和解協議を実施し、ウクライナではロシアとの和平に向けた橋渡し役を果たしている。

中国はパレスチナの和解に成功し、民族和解政府の樹立などを提案。また、イランとサウジアラビアの外交関係正常化でも仲介役を果たしてきた。

ウクライナ危機では和平案を提案し、ロシアとの協議にも積極的。ミャンマーでも仲介外交を続け、平和構築に取り組んでいる。

中国が「仲介外交」を積極化させている。7月下旬にパレスチナで対立する各派の代表を北京に招いて和解協議を実施。ロシアのウクライナ侵略を巡っても和平実現に向けた橋渡し役として名乗りを上げた。中東などで米国の存在感が後退している隙を突いて国際的な影響力を強めようとする戦略だが、仲介の効果は疑問視されている。

■成果を自賛

7月下旬、イスラム原理主義組織ハマスと、自治政府の主流派ファタハなどパレスチナの計14派が北京に集まり、和解に向けて対話を行った。

最終日には中国の王毅共産党政治局員兼外相が立ち会い、「分裂終結とパレスチナ民族団結の強化に関する北京宣言」に署名。中国外務省によると、各派が「臨時民族和解政府」を樹立することで合意した。王氏は、一連の対話で、①パレスチナ自治区ガザでの停戦の早期実現②パレスチナ人によるパレスチナ統治③パレスチナの国連正式加盟-という「3段階のアプローチ」を進めることを提案した。

昨年3月には中国の仲介でイランとサウジアラビアが外交関係の正常化に合意しており、中国側はそれに続く仲介外交の「成果」と位置づける。中国外務省報道官は「パレスチナの人々に貴重な希望をもたらした」と述べ、仲介外交の成果をアピールした。

■ウクライナ案は「国際社会の最大公約数」

中国は続いて、ロシアのウクライナ侵略を巡っても動きを見せた。王氏は7月24日、中国広東省広州でウクライナのクレバ外相と会談し、ロシアとの和平について協議した。王氏は会談で、停戦の実現などに向け「建設的役割を引き続き果たしたい」と表明。ウクライナとロシアの双方が最近、協議を望むシグナルを発しているとして「条件や時機は熟していないが、平和に有益な努力を支持する」と強調した。

中国は5月、ウクライナ危機の政治解決をうたう独自案をブラジルとともに発表し、和平会議の開催などを提案した。王氏はクレバ氏との会談で同案について「国際社会の最大公約数を凝縮している」と主張した。

内戦状態のミャンマーでも仲介外交を続けており、8月には王氏が同国を訪問して軍政トップのミンアウンフライン総司令官と会談した。