有機ELも中国に遅れをとった…崖っぷちの韓国ディスプレー(2)

AI要約

中国の物量攻勢に対抗するために韓国企業が生産単価引き下げが急務と認識されている。

LGディスプレーの経営失敗については、第8.6世代有機ELへの投資不足や事業構造の再編が課題とされている。

LGディスプレーとサムスンディスプレーは次世代有機ELの研究開発に取り組み、技術革新を通じて競争力向上を図っている。

韓国企業の経営失敗を振り返らなくてはならないという自省論も一部では提起される。中国の物量攻勢に対抗するには生産単価引き下げが急務だ。業界内外では現在第6世代で量産されるIT機器用有機ELが第8.6世代へシフトしてこそ本格的なコスト節減効果につながるとみている。しかしサムスンディスプレーは2026年初めに第8.6世代IT機器用有機EL生産ライン稼動を目標にしており、LGディスプレーはまだここにまともな投資にも出ていない状況だ。2年間の業績悪化にともなう財務負担が加重されたためだ。LGディスプレーは2021年に営業利益2兆2306億ウォン(約2440億円)を最後に2022年には2兆850億ウォンの損失を出し、昨年は2兆5102億ウォンと営業損失が雪だるま式に膨らんだ。

匿名の証券会社研究員は「LGディスプレーはIT機器用有機ELよりはテレビ用有機EL市場開拓に重点を置いて事業を進めてきたが、世界市場では大型有機ELより中小型有機EL市場の拡大がより早く進んでいる。LGエレクトロニクスがスマートフォン事業での浮沈を体験した末に撤退しテレビなど家電事業に集中するなど諸般の事情が不如意だったとはいうが、結果的に(LGディスプレー)経営陣の判断ミスが悔やまれる」と診断した。LGディスプレーは2022年から液晶パネル(LCD)生産ラインの稼動を中断して有機EL中心の事業構造に再編し、今年現在まで人材再配置を通じたコスト効率化を企画中だ。

企業は次世代有機ELの研究開発で名誉回復に出るという計画だ。LGディスプレーのユン・スヨン最高技術責任者(CTO)は最近、公式の席上で「今年はIT機器用有機EL市場(開拓の)元年。輝度と効率が大幅に向上したホワイト有機ELの技術を開発しており、オンデバイス工知能(AI)に最適化された低消費電力技術にも重点を置いている」と明らかにした。サムスンディスプレーも李昌熙(イ・チャンヒ)副社長が「発熱を減らすことができる新素材やピクセル制御アルゴリズムなど低消費電力技術を確保するため持続的に努力している」と明らかにした。ただ中国政府の全面的な支援を背景にした中国企業の追撃を引き離すためには韓国が政府レベルのディスプレー支援策を大幅に強化しなければならないという指摘も出ている。