テレグラム創設「ロシアのザッカーバーグ」逮捕にロシア猛反発、一方でプーチンの情報管制がより強固になる予感…

AI要約

ロシアのテレグラムCEOであるパヴェル・ドゥロフ容疑者がパリ郊外の空港で逮捕された。

ドゥロフ容疑者はテレグラムが犯罪に使われることを黙認したとして共犯容疑をかけられた。

逮捕には一罰百戒の意図やテロ対策関連の圧力もあるようだ。

 (国際ジャーナリスト・木村正人)

■ パリ郊外の空港で“電撃逮捕”されたドゥロフ容疑者

 [ロンドン発]ロシアの暗号化メッセージングサービス「テレグラム」創設者で最高経営責任者(CEO)のロシア系フランス人、パヴェル・ドゥロフ容疑者(39)が8月24日午後8時ごろ、仏パリ郊外にあるル・ブルジェ空港でフランスの法執行機関に“電撃逮捕”された。

 テレグラムは31カ国で一時的または恒久的な禁止に直面している。

 テレグラムは翌25日の声明で欧州連合(EU)の法律を順守しているとして「プラットフォームやその所有者が、そのプラットフォームの悪用に責任があると主張するのは馬鹿げている」と反論している。ドゥロフ容疑者の即時釈放と表現の自由を求めてネット空間は大炎上している。

 仏民間テレビ局TF1(8月24日)によると、ドゥロフ容疑者はアゼルバイジャンからボディーガードと女性を伴って自家用ジェット機で到着し、空港の滑走路に降りたところを取り押さえられた。フランス国家犯罪捜査局による予備捜査のための令状が執行された。

 テレグラムを利用するテロ組織・麻薬密売・小児性愛犯罪・詐欺の捜査に協力しなかったとして、共犯容疑をかけられた。フランスでペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)扱いになったドゥロフ容疑者は旧ソ連諸国、アラブ首長国連邦(UAE)、南米を転々としていた。

 自らが運営するプラットフォームのテレグラムで数え切れない犯罪が行われているのを黙認した罪に問われたかたちだ。億万長者のドゥロフ容疑者は逃亡の恐れがあるため、起訴後も勾留される見通しだ。TF1は逮捕の狙いについて以下の見方を示している。

■ プーチンはアゼルバイジャンでの面会を拒否

 まず、テレグラムのような暗号化メッセージングサービスを悪用する犯罪者や地下組織に「逮捕する」という強いシグナルを送り、犯罪を抑止する一罰百戒の狙い。第二に、テロ対策でテレグラムに協力させるため欧州諸国が足並みをそろえて圧力をかける足がかりにする狙いがある。

 在仏ロシア大使館は8月25日、テレグラムに「彼の権利を保護するため、われわれは直ちにフランス当局に逮捕の理由を説明し、領事面会を認めるよう求めた。今日現在もフランス側はこの問題に関する協力を避けている。ドゥロフ氏の弁護士と連絡を取り合っている」と投稿した。

 テレグラムチャンネル「Baza」によると、ウラジーミル・プーチン露大統領は8月19日にバクーに到着し、2日間アゼルバイジャンに滞在していた。訪問の数日前、露大統領府のスタッフからドゥロフ容疑者と会うよう提案されたが、拒否した。面会の狙いも断った理由も分からない。