こどもの疑問に専門家が“マジ回答”「あくびしている人を見た人もあくびしてしまうのはなぜ?」

AI要約

あくびは自然な反応であり、疲れや退屈、目覚めのサインとして現れる

もらいあくびは共感が大きく関わっており、集団の結びつきを強化する

動物もあくびをし、人や動物を問わずお互いに理解し合う助けとなる

こどもの疑問に専門家が“マジ回答”「あくびしている人を見た人もあくびしてしまうのはなぜ?」

人がしていると、ついつい自分にもうつってしまう「あくび」。私たちが自然としているこの反応には、きちんと意味があるのだと専門家はいいます。

あくびは、それをしようと考えるまでもなく、口を大きく開けて息を深く吸い込んだときに自然と出てきます。あくびが出るのは、疲れていたり退屈していたり、目が覚めたときだったりします。その回数は、1日に6~23回が多いようです。そして、あくびをするのは人間だけではありません。動物もあくびをするのです! 

誰かがあくびをしているのを見たときにもあくびが出るというのも、よくあることでしょう。これは「もらいあくび」と呼ばれます。

こうした「もらいあくび」は、とくに意識しなくても「反射」と呼ばれる体の反応で、自動的に起こります。とはいえ、生まれたときからそれが備わっているわけではないことが科学者たちの研究によってわかっています。

もらいあくびをするようになるのは、実は4~5歳くらいからです。それくらいの歳まで成長した子供は、「共感」と呼ばれる感情が発達します。共感とは、ほかの人の気持ちや感情を理解し、それを自分の気持ちのように感じることです。そういうわけで、頭で考えるまでもなく、あくびしている人を見るとあくびしたくなるのです。

科学者たちは、「身近な人があくびをするのを見たときにあくびが出る場合が多い」ことに気づきました。

これは、「もらいあくびは共感が大きく関わっている」という考えを裏付けるものです。友達や家族の誰かがあくびをしているのを見て、みなさんの脳が相手の感情を理解したとき、みなさんもあくびをするのかもしれません。

もらいあくびは、集団の社会的な結びつきを強くするのにも役立つことがあります。つまり、ほかの人との結びつきを助ける脳の働きのひとつなのです。

また科学者たちは、鳥や爬虫類や魚があくびをするのを見ても、人があくびをする場合があることを突き止めました(魚もあくびをします!)。

実は、犬やチンパンジーのような一部の動物にも、もらいあくびはあります。あるチンパンジーが、あくびをするほかのチンパンジーを見ると、たいていあくびをします。私たち人間と同じく、もらいあくびがお互いの社会的なつながりを作る助けになっているのです。

さらに科学者たちは、人だけでなくチンパンジーやボノボでも、強いきずなで結ばれた相手と一緒にいるときのほうが、もらいあくびがよく起こることを発見しています。仲の良い人と一緒にいるときは、見ず知らずの人といるときよりももらいあくびが多くなりやすい、というわけです。

私たちは歳を重ねるにつれて、相手の気持ちを理解する力が高まり、もらいあくびも多くなっていきますが、かなり年をとったお年寄りは、あくびをもらう力が下がってくる場合があるようです。これは、人にもチンパンジーにも見られます。

もらいあくびは、ペットなど、身近でかわいがっている動物に限らず、いろんな動物でも起こる場合があります。あくびは、相手が人間、動物に関係なく、お互いにつながり、理解しあう助けをしているものだといえるのです。

人間の脳には、ミラーニューロン(ミラー神経細胞)という特別な細胞があります。ミラーニューロンは、なにかをしている人を見ると活性化して、相手と同じことをしているかのように感じさせます。

たとえば、あくびです。あくびをもらったときの脳は、あくびをする相手を鏡(ミラー)に写しているような状態にあるのです。

今度、あくびをしている人を見てあくびが我慢できなくなったら、「これは脳が友達や家族、ペットとつながろうとしてやっているんだ」と気づくようになるでしょう。