通信アプリ「テレグラム」CEO逮捕 犯罪使用放置の疑い 戦場の実態を世界に発信も

AI要約

CEO逮捕の背景として、テレグラムが犯罪に悪用されていることが指摘される。

テレグラムのCEOは自由と中立を重視し、政治的中立を保ちつつ活動している。

逮捕により、テレグラムの今後や言論の自由に対する影響が懸念される。

通信アプリ「テレグラム」CEO逮捕 犯罪使用放置の疑い 戦場の実態を世界に発信も

 ロシアによるウクライナ侵攻以降、両国の情報発信などで利用されている通信アプリ「テレグラム」のCEOが逮捕された。

 24日、フランス・パリ近郊のブルジェ空港で逮捕されたのは、通信アプリ「テレグラム」の創設者であるパベル・ドゥロフCEO(39)。プライベートジェットでアゼルバイジャンから到着したところだった。

 フランス当局によると、テレグラムが資金洗浄や麻薬密輸、児童ポルノなどの犯罪に使われているのを放置した疑いで指名手配していたという。「犯罪の温床」と指摘されながら、なぜ対応しなかったのか?

 ドゥロフ氏は4月のインタビューで「重視しているのは自由。テレグラムは政治的に中立で、誰もが利用できるプラットホームだ」と述べた。

 「誰もが自由に、中立な立場で利用できる」。これこそがドゥロフ氏の理念であるという。

 実際に、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、テレグラムには現地の映像が数多く投稿され、民間人が被害を受ける実態がリアルタイムで世界に発信されている。

 ロシアでも、民間軍事会社ワグネルの創設者であるプリゴジン氏が、軍に対する不満を爆発させる様子がテレグラムで発信された。

 最前線の戦況さえも即座に発信され、現在では世界中で9億人以上のユーザーがいるという。

 最高経営責任者であるドゥロフ氏の逮捕により、テレグラムは今後どうなっていくのか。

 テレグラムのCEOであるドゥロフ氏は今年4月、インタビューでテレグラム開発の経緯を明かした。

 ドゥロフ氏は2006年、ロシア版フェイスブックとされる「フ・コンタクチェ」を開発した。しかし当時、ロシア国内の反体制派らが連絡手段として使っていたため、当局から利用停止やデータ提供を要求されるなど圧力を受けていたという。

 こうしたなか、自身に安全な通信手段がないことに気付き、メッセージを暗号化し保護するテレグラムの作成を思いついたと明らかにした。

 また、ドゥロフ氏が重視しているのは「自由」だといい、テレグラムは「政治的に中立で誰もが利用できる」と主張。政治的中立を保つため、FBIなどからの接触や圧力を受けないドバイを拠点に活動している。

 テレグラムを巡っては、ロシアをはじめとする世界各国で反体制派や様々な犯罪グループも利用している。そのため、BBCによると、ロシア当局は2018年、テレグラムの利用を禁止した。

 これに対し、西側諸国の人権NGOなどが「表現とプライバシーの侵害だ」と批判していたという。

 今回、西側であるフランス当局に逮捕されたことで、ロシアのザハロワ報道官は「批判の声はどこですか?」とテレグラムに投稿した。

 また、自身も規制強化に反対するアメリカの起業家であるイーロン・マスク氏は「2030年になればヨーロッパでは『いいね』をしただけで処刑されるようになるだろう」と皮肉をX(旧ツイッター)に投稿し、ドゥロフ氏の逮捕を批判した。

 さらに、BBCによると、テレグラムは「プラットフォームの悪用について、プラットフォームやその所有者に責任を求めるのはばかげている」と25日に声明を出したという。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年8月27日放送分より)