ガザ停戦協議、米国の「橋渡し提案」も失敗に終わりそうな理由

AI要約

米国のブリンケン国務長官が中東を訪れたものの、イスラエルとハマスの間で停戦合意には至らず。

停戦についてイスラエルは恒久的な停戦を望んでおらず、ハマスは新たな停戦案を拒否する状況。

イスラエルとハマスの間での交渉は停滞し、アメリカの提案がイスラエル寄りのものとなっている。

ガザ停戦協議、米国の「橋渡し提案」も失敗に終わりそうな理由

ガザ停戦協議のために中東を訪れていた米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、「橋渡し提案」でイスラエルとハマスの溝を埋めようと試みたが、停戦合意にはいまだ至っていない。

カタールメディア「アルジャジーラ」が、その「橋渡し提案」の中身や、橋渡しできずにいる争点についてまとめている。

まず停戦そのものについて、イスラエルは「停戦」協議に加わっているものの、恒久的な停戦を望んではいないという。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエル人の人質を取り戻したあとに、ガザへの攻撃を再開する権利を確保したがっているのだ。

一方ハマスは7月に、一時停戦に合意し、やがては永久停戦に至る協議を間接的に続ける構えを見せていた。だが、ネタニヤフが新たな条件を加え続け、妥協を拒否してきたために、ハマスは新たな停戦案を拒否している。

イスラエル国防軍のガザ地区からの撤退について、ハマスは完全撤退を要求している。一方ネタニヤフは、エジプトとの国境沿いの「フィラデルフィア回廊」を含む複数の場所に国防軍を駐留させることを要求している。

ブリンケンはこのネタニヤフの要求を、駐留させる兵士の数を最低限にするならばと受け入れたのだと、欧州外交評議会(ECFR)でイスラエル・パレスチナを専門に扱うヒュー・ラバットは指摘する。ラバットは、アルジャジーラにこう見解を述べている。

「私見では、米国がイスラエルの要求する最新の条件を受け入れつつ、それらを多少なりとも骨抜きにしようとしている。この提案は基本的に、イスラエルとハマスの橋渡しではなく、米国とイスラエルの橋渡しだ」

人質の解放についても、ネタニヤフが提示している新たな条件のせいで望みは薄いとして、ラバットはこう指摘する。

「米国はネタニヤフに同調していると思う。米国は、人質解放の取引をぶち壊しかねない彼の諸条件を承認するばかりか、彼が実際にその取引をぶち壊すのを許しているのだ」