【社説】コロナ再流行の兆候、先制的対応指針を公表するべき=韓国

AI要約

新型コロナ感染が拡大しており、入院患者が急増している。感染力は高いが致命率は低いオミクロンJN.1ウイルスが流行している。しかし、感染者が増加する中、対処法に混乱が生じている。

エンデミック宣言後、新型コロナは隔離義務がなくなった。職場では感染者の扱いが課題となっている。また、隠蔽行為が見られる環境が形成されている。

政府は早急に対策を講じる必要がある。ワクチン接種や治療薬の確保、適切なガイドラインの策定が急務である。

新型コロナ感染が拡大している。周囲では、風邪の症状で病院に行き、コロナ感染の診断を受ける事例が増えている。疾病管理庁が病院級以上の220カ所の医療機関を対象に実施する標本監視でも、8月第1週のコロナ入院患者は861人と、3週前に比べ5.8倍に増えた。実際の感染者はこれよりはるかに多いと推定される。

疾病管理庁は現在流行するコロナウイルスが昨年末に米国・英国・インドなどで流行したオミクロンJN.1ウイルスの下位変異のKP.3変異と明らかにした。過去に流行した変異に比べて感染力は高いが、致命率はやや低いという。防疫当局も「関心」段階の対応態勢を直ちに変える考えはないようだ。しかし感染者が急速に増え、多くの人がどう対処すればよいのか混乱が生じている。パンデミック初期に見られた買い占めの兆候も表れている。マスクと手指消毒剤を求める人が急増し、診断キット製造会社には生産が追いつかないほど注文が入っている。

半面、エンデミック宣言以降、新型コロナがインフルエンザと同じ4級感染病に等級が下がり、隔離義務がなくなった。職場では感染者に有給休暇を与えるのか、無視して出勤させるのか判断できずにいる。この場合、診断を避け、感染の事実も隠そうとするケースが生じる。しかも猛暑のため窓を閉めてエアコンを終日使用し、ウイルスに感染しやすい環境までが形成されている。

いくら致命率が低いとはいえ、数十万人が一度に感染すれば犠牲者が出るしかない。基礎疾患がある人はさらに危険だ。特に感染者が増えれば変異が発生する確率が高まり、そのうちに致命的な変異が出てくるかもしれない。現在、大型病院では専攻医が多数辞職した状態であり、重症患者が増えれば機敏に対処するのも難しい状況だ。

政府は致命率が低いという理由で放置するのではなく、先制的に措置を取らなければいけない。今すぐ対応段階を高める必要はないとしても、感染すれば有給休暇の別途使用を可能にするなどガイドラインを公表しなければいけない。幸い、今回の変異はJN.1ウイルスに対するワクチンでも効果があり、疾病管理庁はこのワクチン755万回分を確保した状態だ。しかし新型コロナを経験した結果、ワクチン接種は必要ないと考える人が増えた点は強く懸念される。政府がこうした状況に警告をする時だ。多くない治療薬も急いで確保する必要があるだろう。

先の大流行の過程でやや面倒で浪費したように見えても、事前に備えなければ被害がどれほど拡大するかは、すべての国民が痛いほど経験している。手遅れにならないことを願う。