台湾漁船の乗組員らを釈放、船長は拘束続く 金門島周辺で中国が拿捕

AI要約

台湾漁船が金門島周辺で中国海警局に拿捕された事件。拘束された漁船の乗組員のうち4人が釈放され、1人は引き続き拘束中。

拿捕された漁船は、台湾が設定した制限水域外で中国の領海で漁をしていた。中国海警局は乗組員4人に刑事責任を問わず帰国させたが、1人は依然として捜査中。

過去には同様の事件が起き、中台の緊張が高まったが、中国側は遺体の返還と慰問金支払いで合意し、元軍人も帰国するなど状況は改善している。

台湾漁船の乗組員らを釈放、船長は拘束続く 金門島周辺で中国が拿捕

 中国本土に近い台湾の金門島周辺の海域で7月2日、台湾の澎湖諸島に所属する漁船が中国海警局に拿捕(だほ)された事件で、漁船に乗っていた5人のうち4人が13日に釈放された。台湾紙の聯合報が同日報じた。

 釈放されたのは台湾住民の1人とインドネシア国籍の3人。台湾住民の船長は引き続き中国側に拘束されている。5人の乗った漁船は、台湾側が設定した「制限水域」の外、中国の領海で漁をしていて拿捕された。

 一方、中国海警局は13日、漁船について違法操業の疑いで調べ、乗組員4人の違法行為は軽微だったため、刑事責任を問わずに台湾側に帰したと発表。船は漁獲物1335キロを積んでおり、残る1人については捜査中だとした。

 金門島周辺では2月、台湾側が設けた「禁止水域」で、中国漁船が台湾当局の追跡を受けて転覆、乗組員2人が死亡した。この事故を受けて中国側は金門島周辺をパトロールすると表明。中台の緊張が高まっていた。

 一方、中台双方は7月末、漁船の転覆で死亡した2人の遺体を中国側に返還し、台湾当局が遺族に慰問金を支払うことで合意した。8月7日には、金門島を出航後に中国側に救助され、約5カ月にわたって中国側の調査を受けていた台湾元軍人が台湾側に戻った。(台北=高田正幸、北京=畑宗太郎)