その貝、採っても大丈夫? 違法と知らず「密漁」、「ちょっとだけなら…」に厳しい罰則 海のルールをおさらい

AI要約

海水浴シーズンに密漁に注意

違法採捕の罰則と漁業権の重要性

持続可能な利用を目指すためのルール遵守

その貝、採っても大丈夫? 違法と知らず「密漁」、「ちょっとだけなら…」に厳しい罰則 海のルールをおさらい

 暑くなり、海水浴に行く人も多いはず。気を付けたいのが、アワビやサザエなどを気軽な気持ちで採る「レジャー密漁」だ。水産資源と漁業者の権利を守るため、密漁に対する罰則が強化されている。「ちょっとだけなら…」と魚介類を採ると、多額の罰金が科される恐れがある。遊漁者の摘発が相次いでおり、海辺に出かける際には法令や地域ごとのルールの確認が必要だ。

 「警告 アワビ・サザエ・ウニなどの不法採捕は犯罪です」。海水浴場とキャンプ場が整備され、夏に多くの人でにぎわう松江市加賀の桂島に渡る橋には、注意喚起の看板が掲示されている。磯を歩いてみると、ウニやタコなどを簡単に見つけられる。違法と知らなければ採ってしまうことも十分にあり得る。

 しかし、アワビやサザエなどの貝類や、ワカメをはじめとした海藻類、ウニ、タコ、ナマコは漁業法に基づく「第一種共同漁業権」の対象となっている。漁業権の免許を受けていない人が採捕した場合、100万円以下の罰金が科される場合がある。

 アワビ、ナマコとウナギの稚魚の「シラスウナギ」は、さらに厳しい罰則が設定されている。3品目は特定水産動植物に指定され、漁業権なしに採捕した場合や、不法採捕と知りながら運搬したときは、3年以下の懲役または3千万円以下の罰金が科されることがある。3千万円は個人の罰金としては最高額で、国が3品目の保全を重要視していることを示している。

 漁具や漁法にも制限がある。各都道府県が漁業調整規則を設定し、遊漁で使用可能な漁具・漁法を指定している。山陰両県では、さお釣り、たも網、投網、やす、徒手採集などが許可されている。島根県では船からの投網が禁止されるなど細かな規則に差がある。

 また、桂島を含む島根半島東部の沿岸と出雲大社周辺、隠岐諸島沿岸は、大山隠岐国立公園に指定され、一部の貝類の捕獲が禁止される。サザエの近縁種のスガイや県内で食用になるベッコウカサガイなど、同県では漁業権の対象となっていない小型の貝類も含まれるため、注意が必要だ。

 このほか、地元の漁業者が独自にルールを設定している場合もあり、トラブル回避のため、生き物を捕まえるときにはしっかりと下調べした方がよさそうだ。

 漁業法などで保護される動植物は、いずれも定着性の高い「磯根資源」。簡単に採れるため、密漁の対象になりやすい。乱獲されて同水域の資源量が著しく減少すると、回復に長い期間を要する。特定水産動植物も、採るのが簡単な上、高値で取引され、違法な乱獲の恐れがある生物が指定される。

 持続可能な利用に向け、いずれも資源管理に基づいた計画的な採捕が求められており、個人的な利益のために採るのはご法度だ。島根県水産課の池田博之課長補佐は「漁業権の設定は漁業を守っていくために必要だ。理解していただき、海のルールを守って楽しんでもらいたい」と協力を呼びかけた。