《ブラジル》記者コラム=「日本移民は世界のモデルケース」=赤嶺大司教がアパレシーダで説く=今こそ役立つ分裂社会統合の経験

AI要約

第26回アパレシーダ巡礼がブラジルの守護神を祭るアパレシーダ聖母大聖堂で行われ、約3千人の巡礼者と13人の神父が参加。

巡礼は日系人と地元のブラジル人信者が参加し、過去60年以上の歴史がある。

アパレシーダ聖母大聖堂は世界で2番目に大きな教会堂で、古い方の教会は数百人しか収容できない規模だった。

《ブラジル》記者コラム=「日本移民は世界のモデルケース」=赤嶺大司教がアパレシーダで説く=今こそ役立つ分裂社会統合の経験

 日伯司牧協会(PANIB、坂本エリオ神父)が主催する第26回アパレシーダ巡礼が8月4日に行われた。ブラジルの守護神を祭るアパレシーダ聖母大聖堂で午前10時から行われたミサには、ブラジル全土から約3千人の巡礼者が集まり、日系初の大司教・赤嶺ジュリオ氏(Dom Julio Endi Akamine)ら13人の神父が共同司式し、荘厳な雰囲気の中で日本語の讃美歌が響いた。

 聖母婦人会(吉田ローザ会長)はサンパウロ市セントロのサンゴンサーロ教会横にバス2台を用意し、朝5時45分集合で約80人が出発して9時過ぎにはアパレシーダに到着した。サンパウロ州ではアラサツーバ、バストス、カンピーナス、ビリチーバ・ミリン、モジ・ダス・クルーゼス、マリリア、ソロカバ、ガルサ、パラナ州からはアサイー、アラポンガス、ロンドリーナ、マリンガ―、コルネリオ・プロコピオ、ミナス州からはベロ・オリゾンテ、トゥルボランジア、リオ州からはボルタ・レドンダ、バーラ・ド・ピライ、バーラ・マンサなど30カ所近くからの巡礼バスが到着していた。

 前日から下準備のために25人で現地入りして忙しそうに動き回っていた先発隊の山田孝治さん(こうじ、72歳、広島出身)をつかまえて、「いつから巡礼に参加しているのか」と尋ねたら「約60年前に初めて参加して、それから2年ごとに毎回参加しています」というので驚いた。巡礼は2年に一度で、同司牧協会主催になったのが52年前だ。だがそれ以前から巡礼自体はあり、山田さんはその時代から参加していた訳だ。

 「最初の頃は古い方の教会でした。しかも今みたいにバスとかなくて、トラックの荷台に乗せられてブラジル全土から集まっていたんですよ。あの当時は6千人ぐらい集まっていました」というので、さらに腰を抜かしそうになった。古い方の教会はいわゆる普通の建物なので、3~400人も入ったら満杯になるだろう。

 「教会に入りきれない人はどうするんですか?」と尋ねると、「教会の外でミサに参加します。声だけ聴いて」とのこと。それでも信仰心が篤い人が多かった当時は集まった。現在3千人といっても日系人はおそらく数百人で、残りは地域のブラジル人信者が巡礼バスに同乗して来るケースも多いようだ。でも60年前には大半が日系人だったようだ。

 サンパウロ市から北東に170キロ、車で2~3時間だ。現在の聖母大聖堂は1980年に建設され、バチカン大聖堂に次いで世界で2番目に巨大な教会堂建築だ。全体の建築面積は14万3千平米を超え、収容人数は3万人以上。旧聖堂の方は、1700年代前半に建てられた礼拝堂を1834年に建て替えた。いわゆる普通の地方教会と変わらないサイズだ。