台湾元軍人が5カ月ぶりに帰還 中国側が救助も「身分隠した」と調査

AI要約

台湾軍人が中国で救助される事故から約5カ月ぶりに台湾に帰還

男性は釣り船事故で救助された後、中国に留め置かれていたが、除隊届を提出し受理され、台湾に帰還

中台間の緊張緩和のため、漁船事故の遺体返還合意や男性の帰還が実現

台湾元軍人が5カ月ぶりに帰還 中国側が救助も「身分隠した」と調査

 中国福建省沿岸で今年3月、台湾側から釣り船で出港した台湾軍人の男性が中国側に救助される事故があった。「身分を隠していた」などとして中国側の調査を受けていたが、男性は7日、約5カ月ぶりに台湾に帰還した。中台のメディアが同日報じた。

 男性は中国本土に近い金門島の部隊に所属していた3月、釣り船が濃霧に巻き込まれ、中国海警局に救助された。同行の民間人はほどなく台湾に戻ることを許されたが、男性は中国側に留め置かれていた。5月には家族を通じて除隊届を提出し、受理された。

 中台の間では今年2月、金門島周辺に台湾側が設けた「禁止海域」で、漁をしていた中国漁船が、台湾当局の追跡を受けて転覆し、乗組員2人が死亡した。この事故を受けて中国側は金門島周辺をパトロールすると表明。男性が台湾に戻れないことも、金門島周辺で緊張が生じる一因になっていた。

 一方、中台双方は7月末、漁船の転覆で死亡した2人の遺体を中国側に返還し、台湾当局が遺族に慰問金を支払うことで合意。双方は合意の詳細を明かしていないが、軍人の男性の台湾帰還が認められたことも、この合意の流れを受けたものとみられる。(台北=高田正幸、北京=畑宗太郎)