ミャンマー武装勢力、北部の要衝を掌握と主張 紛争の転換点となるか

AI要約

ミャンマー北東部での武装勢力と国軍の激しい戦闘により、要衝ラショーが武装勢力によって掌握されたと報じられている。

市民は戦闘の中で避難を余儀なくされ、砲撃の音に怯える日々を送っている状況である。

ラショーの市内では戦闘が続いており、流動的な状況が続いていると専門家が指摘している。

ミャンマー武装勢力、北部の要衝を掌握と主張 紛争の転換点となるか

(CNN) ミャンマー北東部シャン州の要衝ラショーをめぐり、少数民族武装勢力「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」が国軍への「決定的な勝利」を宣言し、23日間にわたる軍事作戦の末、ラショーを「完全に解放」したと発表した。ラショーは同州の最大都市で、国軍の北東軍管区司令部がある。

もし武装勢力によるラショーの掌握が確認されれば、国軍によるクーデター以降で武装勢力にとっての最大級の勝利となり、3年にわたる紛争にとっての転換点となる可能性がある。国軍と武装勢力との対立のなか、国軍の兵士や戦闘機による民間人への残忍な攻撃が増加し、300万人あまりの人々が住む場所を追われている。

国軍の報道官は、ラショーの町や司令部が掌握されたとの主張を繰り返し否定し、武装勢力による「プロパガンダ」だとしている。国軍によれば、武装勢力は軍の戦略拠点ではなく民間人の区域を破壊したという。

SNSや、MNDAAのアカウントに投稿された画像や動画には、ラショーの中心部に武装勢力の兵士がいるとみられる様子が捉えられている。武装勢力の兵士がいる場所には鉄道の駅や刑務所、放送局、軍の主要施設が含まれる。

CNNはいずれの主張についても独自に確認ができていない。

専門家によれば、状況は依然として流動的だ。武装勢力は市中を素早く移動し、特に町の南部でいくつかの大隊を掌握しているものの、戦闘は継続している。

オーストラリアのシンクタンク、豪戦略政策研究所(ASPI)のアナリスト、ネイサン・ルーザー氏は、武装勢力がラショー市内にいる場所をマッピングし、市内の真ん中に位置していることから武装勢力が確かに町の多くの部分を掌握しているとの見方を示す。

ルーザー氏は、もしラショーが陥落すれば、基本的には、国の大部分から効果的な組織としての国軍が排除されることになると指摘。「そして、わずか約1カ月の衝突でそれが起こっているように見えるということは、特に昨年、軍事政権の能力がどれほど低下したのかを示している」

ラショーの住民だった28歳の人物は安全上の問題から「キン・スウェ」という仮名でCNNの取材に応じ、郊外での戦闘の音には慣れていたが、市内の戦闘音は違ったと振り返った。

「夜になると町の上空で絶え間なく砲撃が続いた。携帯電話を手に最新のニュースをみながら、わたしたちはみな、不安を抱えて座っていた。頭上で砲弾がごう音を立てて眠れない夜もあった。いつの間にか眠ってしまい、再び大きな砲撃の音で目が覚めた。人生で経験した中で最も恐ろしい瞬間だった」(キン・スウェさん)

キン・スウェさんはミャンマー第2の都市のマンダレーに避難した。通常なら車で6時間の距離だ。キン・スウェさんによれば、町を離れるためのバスの運賃は高騰しており、大勢の人たちが逃げ出そうとしている。

家族の一部は自宅や仕事を守るためにラショーに残ることを決めた。キン・スウェさんが電話が不通になる前に親戚から聞いた話によれば、MNDAAの兵士が市内に入り込んで、空の建物に陣取り、住民らには避難するよう促したという。

戦闘に巻き込まれた別のラショーの住民は、地元のコミュニティーや近所のフェイスブックのグループに助けを求めるメッセージを送っている。

ある利用者はSNSに「ラショーでは集中攻撃のさ中にある高校に子どもたちと高齢者が取り残されている。彼らは一日中何も食べていない。どうやって助ければいいのかわからない」と投稿した。