カンボジアに中国支援の運河 アジアの海に波紋

AI要約

カンボジアの首都近郊で180キロの運河建設が始まり、中国の支援で進行中。ベトナムは懸念を示し、中国の影響力拡大への危機感も表明。

運河は物流ルート短縮を目的とし、経済的地位向上を目指すカンボジア政府の重要な計画であり、総工費は17億ドルに上る。

ベトナム政府は環境への悪影響や中国の影響力拡大への警戒感から、運河建設に懸念を示しており、両国の摩擦の種となっている。

カンボジアに中国支援の運河 アジアの海に波紋

 カンボジアの首都近郊のメコン川からタイ湾まで、約180キロを結ぶ運河の建設が5日、始まった。カンボジアは物流ルートの短縮などを目的に挙げるが、隣国ベトナムが建設に反発し、両国の摩擦の種となっている。背景には、プロジェクトを支援する中国への警戒感がある。

 「貿易を促進し、カンボジアの経済的地位を向上させる重要な計画だ」

 5日に首都プノンペン近郊のカンダール州で開かれた運河の起工式。フン・マネット首相は演説で力を込めた。

 建設が進むのは「フナン・テチョ運河」。カンボジア政府によると、プノンペン近郊から南の沿岸州ケップまで、4年かけて貫く計画だ。総工費は17億ドル(約2500億円)。約180キロのうち159キロの区間の49%を、中国国営企業が資金を拠出して建設する。

 運河が水を取り込むメコン川の下流にあるベトナム政府はこの計画に懸念を示している。5月には外務省報道官が「評価のための情報共有が不十分だ」と批判した。主に水流や水量の変化による環境への悪影響を理由に挙げるが、中国の影響力拡大への危機感もにじむ。