バングラデシュの反政府抗議で少なくとも90人死亡 首相退陣求め市民的不服従運動を開始

AI要約

バングラデシュで4日、警察と反政府デモ参加者との衝突が悪化し、少なくとも90人が死亡した。

学生による抗議活動は公務員採用枠の廃止要求から始まり、現在では幅広い反政府運動に発展している。

国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は抗議活動に平和的な解決を求める。

7月からの抗議運動で死者数は280人を超え、夜間外出禁止令が全国的に発令されている。

市民不服従運動を主導するアシフ・マフムード氏はデモ行進を呼びかけており、緊迫した状況が続いている。

政府と反政府派の対立が激化しており、今後は重要な時期となる。

反政府デモはハシナ首相の辞任要求から始まり、治安当局や軍の介入も深刻な問題となっている。

デモ参加者は公務員採用枠の割り当て縮小に不満を持ち、ハシナ氏の退陣を要求している。

他方、ハシナ首相は無条件の対話を提案しているが、抗議運動は続いている。

バングラデシュの反政府抗議で少なくとも90人死亡 首相退陣求め市民的不服従運動を開始

バングラデシュで4日、警察と反政府デモ参加者との衝突が悪化し、少なくとも90人が死亡した。

この衝突は、学生の指導者らがシェイク・ハシナ首相の退陣を要求する市民的不服従運動を宣言したことを受けたもの。

警察によると、数千人の民衆がシラジガンジ県の警察署を襲撃し、警察官13人が死亡した。

学生による抗議活動は、先月の公務員採用枠の廃止要求から始まったが、現在では幅広い反政府運動に発展している。

これまでに、警察や政権与党の支持者の一部が、反体制派の抗議参加者に実弾を発砲しているのが目撃されている。警察は、催涙ガスやゴム弾も使用した。

7月に抗議運動が始まって以来、死者数は280人を超えたという。

現地時間午後6時以降の夜間外出禁止令が現在、全国的に発令されている。

国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は、「衝撃的な暴力」に終止符を打つよう呼びかけるとともに、バングラデシュの政治家や治安部隊に自制を促した。

トゥルク氏は特に、5日に首都ダッカで予定される大規模デモ行進に対する懸念を表明。「今まで以上に人命が失われ、さらに破壊が広がる」危険性を警告した。

「政府は、抗議運動に平和的に参加している人々を標的にすることをやめ、恣意(しい)的に拘束されている人々を直ちに釈放し、インターネットへの接続を完全に回復させ、有意義な対話のための条件を整えなければならない」と、トゥルク氏は付け加えた。

また、過剰な武力行使や意図的な偽情報の流布、暴力の扇動など、民衆の不満を抑圧するための継続的な取り組みも、即座に中止するべきだと述べた。

一方、辞任要求の声が上がる中、ハシナ首相は抵抗する姿勢を示している。同首相は、治安当局幹部との会談後、抗議者らは「学生ではなく、国家を不安定にさせようとするテロリストだ」と述べた。

アニスル・ハク法相は4日、BBCのニュース番組「ニューズアワー」に出演し、当局は「自制」していると語った。

「もし我々が自制しなれば、血祭りになっていただろう。我々の忍耐にも限界があると思う」と、ハク法相は述べた。

ダッカでは現在、携帯電話からインターネットに接続できなくなっている。

また、北部のボグラ県、パブナ県、ランプ―ル県などでも、死傷者が報告されている。

ダッカでは中心地の広場に数千人が集まって抗議しているほか、市内の他の地区でも暴力沙汰が起きている。

AFP通信が取材した匿名希望の警官は、「街全体が戦場になってしまった」と話した。また、数千人の群衆が、病院の外に停められていた車両やバイクに放火したと述べた。

全国的な市民不服従運動を主導しているアシフ・マフムード氏は、5日にダッカでデモ行進を行おうと呼びかけている。

マフムード氏は「最後の抗議の時だ」と語っている。

また、反政府デモを主催する団体「差別に反対する学生」は、人々に税金や光熱費を払わないよう呼びかけている。

学生らはほかにも、全ての工場や公共交通機関の閉鎖を求めている。

この2週間で約1万人が、治安部隊による弾圧で拘束されたと報じられている。拘束された中には、野党の支持者や学生もいる。

また、学生運動への支持を表明している元軍人もいる。カリム・ブイヤン元陸軍参謀総長は記者団を前に、「我々は現政府に対し、すべての部隊を直ちに路上から撤退させるよう求める」と述べ、「はなはだしい殺害、拷問、失踪、一斉逮捕」を非難するとした。

政府と反体制派双方にとって、今後数日間が極めて重要な時期になるとみられている。

今回の抗議行動は、主要野党がボイコットした1月の選挙で4期連続当選を果たしたハシナ氏に対する重大な挑戦となっている。

政府は先に、1971年の独立戦争の退役軍人の家族を、公務員採用で優遇する案を発表。当初の案では公務員採用枠の3割を家族らに割り当てていた。

学生の抗議を受け、政府は割り当てのほとんどを縮小した。しかし、学生らは抗議で死傷した人々への正義を求め、抗議を続けている。そして今では、ハシナ氏の退陣を求めている。

一方、ハシナ氏の支持者は、首相は辞任しないと主張する。

ハシナ氏は先に、学生リーダーたちとの無条件の対話を提案し、暴力の終結を望んでいると述べた。

「運動している学生たちと一緒に座り、彼らの話に耳を傾けたい。私は争いを望まない」と首相は話した。

しかし、学生らはこの申し出を拒否した。

ハシナ首相は先月、抗議行動中に複数の警察署や州庁舎が放火された後、秩序回復のために軍を招集した。

バングラデシュ陸軍のワケル・ウズ・ザマン参謀総長は、ダッカで若手の将校たちと会合を開き、治安状況を評価。「バングラデシュ軍は常に国民の側に立っており、今後も国民の利益のため、そして国家のあらゆる必要性のため、国民を支え続ける」と、ザマン将軍は語った。

バングラデシュのメディアによると、7月の抗議デモで死亡した人々のほとんどは警察によって射殺された。また、数千人が負傷した。

政府は、警察が発砲したのは正当防衛と国の財産を守るためだけだと主張している。

(英語記事 Bangladesh clashes: 90 killed in anti-government protests)