各地で高まるオーバーツーリズムへの抗議活動、なぜ欧州で?

AI要約

観光客への抗議運動が欧州各地で広がっており、住民は高騰する家賃や住宅価格に対する不満を表明している。

バルセロナやマジョルカ島ではデモ行進やハンガーストライキが行われ、観光客に対する警告や抗議が続いている。

抗議活動により観光客の訪問先に影響を与え得る可能性があり、持続可能な観光業の必要性が訴えられている。

各地で高まるオーバーツーリズムへの抗議活動、なぜ欧州で?

(CNN) 観光客への抗議運動は今夏、欧州全土に広がり、オランダ、ギリシャ、スペインでデモが行われている。

抗議者たちは今月初旬、スペイン・バルセロナの人気観光地でデモ行進。「観光客は帰れ」と叫びながら観光客に水鉄砲で水を浴びせた。

最近ではスペインのマジョルカ島で数千人が抗議。主催者は同島の観光モデルが「労働者を貧しくし、裕福になるのはほんの一握りだ」と主張している。

抗議運動の中心にあるのは、家賃と住宅価格の高騰という深刻化する問題だ。一部の住民にとって住宅所有はほぼ不可能になっている。

バルセロナ市長によると、同市では過去10年間で家賃が68%上昇。他の欧州の都市でも同様の傾向がみられる。

多くの住民はうんざりしている。一部の住民は声を上げるために極端な手段に訴えている。スペイン・カナリア諸島の住民は4月、オーバーツーリズムに抗議してハンガーストライキを呼びかけた。

バルセロナ市議会によると、先のデモには約2800人が参加した。

ある市民は多くの人々が参加したことを喜ぶ。多くの人々や企業がスペインを訪れる観光客に注意を促すことにつながり、同市への訪問を思いとどまらせる力があったと振り返る。

豪クイーンズランド大学の持続可能な観光の専門家、アンチェ・マルティンズ氏はこのような抗議活動の評判が、観光客の行き先に影響を与える可能性があると述べた。

「バルセロナは今、非常に評判が悪く、観光客は怖くて訪れたくないと考えている」(マルティンズ氏)

一方で欧州旅行を宣伝する非営利団体の最高経営責任者(CEO)、エドゥアルド・サンタンデール氏は、バルセロナでの抗議活動のような事案は「孤立した」ものであり、「スペインや欧州全体の現実を反映しているわけではない」と示唆する。

マルティンズ氏もこれは観光客と住民の衝突ではないと考えている。住民は目の前の観光業から何の利益も得られないために不満を抱いているのであって、持続可能な形で運営されていない観光業を広く反映していると指摘した。

先の市民も「私たちは観光客を直接責めているわけではなく、政府に方針を変えるよう圧力をかけたいのだ」と訴えた。