過去最高業績の韓国「防衛産業ビッグ4」…11月の米大統領選の煙幕も突破できるのか

AI要約

韓国の防衛産業が好業績を収め、売上高や営業利益が大幅に増加した

米国大統領選挙の影響や地政学的な情勢が今後の業績に影響を与える可能性がある

韓国企業は米国の自国優先主義の影響を受けつつも、協力を通じて利益を共有できる見込み

過去最高業績の韓国「防衛産業ビッグ4」…11月の米大統領選の煙幕も突破できるのか

防衛産業界の成長が4-6月期にも続いた。韓国防衛産業企業の多くが大規模な輸出の影響で市場の予想を上回る「アーニングサプライズ(好業績)」となった。ロシア・ウクライナ戦争など地政学的な危機が長期化し、全世界の武器需要が増えた影響だ。ただ、11月の米国大統領選挙を控えて世界的な不確実性が高まる状況で、防衛産業企業の下半期の業績見通しには期待と懸念が存在する。

韓国防衛産業4社(ハンファエアロスペース、現代ロテム、LIGネクスワン、KAI)の4-6月期の営業利益(連結基準)合計は5949億ウォン(約646億円)だった。証券会社の平均予想値4106億ウォンを上回り、前年同期(1944億ウォン)の3倍を超える。昨年下半期から続いた海外受注が4-6月期の業績に本格的に反映され始めたと分析される。

ハンファエアロスペースは4-6月期の売上高を2兆7860億ウォン、営業利益を3588億ウォンと明らかにした。売上高は前年同期比46.0%増、営業利益は同比356.5%増。営業利益は四半期基準で過去最高だ。ハンファエアロスペースの関係者は「ポーランドに輸出したK9自走砲と多連装ロケットのチョンムが今回の業績を牽引した」とし「下半期も継続して物量を引き渡すことができるだろう」と話した。

これに先立ち業績を公開したそのほかの防衛産業企業も過去最高を更新した。現代ロテムは売上高1兆945億ウォン、営業利益1128億ウォンと、四半期基準で共に過去最高となった。前年同期比でそれぞれ10.9%増、67.7%増だ。ポーランドに輸出したK2戦車の引き渡し物量が増えた影響だ。LIGネクスワンは売上高6047億ウォン、営業利益491億ウォンで、同比それぞれ10.8%増、22.2%増。レーダー、音波探知機など監視偵察分野の売上高が増えた。

韓国航空宇宙産業(KAI)は今年4-6月期の売上高が8918億ウォン、営業利益が743億ウォンで、同比21.6%増、785.7%増と発表した。KAI関係者は「国内では戦術入門訓練機T5-50とスリオンヘリコプターの納品が業績を牽引し、海外では来年からポーランドに納品予定の軽戦闘機FA-50PLと、2026年にマレーシアに納品予定の軽戦闘機FA-50Mが売上高に反映された」と伝えた。

韓国防衛産業企業の上半期の好業績は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、欧州・中東国家を中心に武器の需要が増えた影響と解釈される。下半期にもこうした流れが続くという期待感も強い。ハンファエアロスペースは今月初め、ルーマニアとK9自走砲、K10装甲車の供給契約を締結し、現代ロテムはポーランドとK2戦車の残余契約を進めている。防衛産業4社の4-6月期末の受注残高は計91兆5559億ウォンにのぼる。企業別にはハンファエアロスペース30兆3000億ウォン、KAI23兆2591億ウォン、現代ロテム18兆9915億ウォン、LIGネクスワン19兆53億ウォンの順。

11月の米大統領選挙が変数となる。トランプ前大統領が当選する場合、現在進行中の戦争の様相が変わる可能性がある。米国の自国優先主義と保護貿易主義が強まれば輸出の障壁が高まるという懸念もある。産業研究院のシム・スンヒョン副研究委員は「トランプ氏が当選する場合、ウクライナ支援縮小でグローバル防衛産業の需要の後退が避けられない」とし「トランプ氏がバイデン政権とは違って中東国家にも武器を輸出する場合、米国企業との競争が激しくなり、国内防衛産業の輸出が鈍化する可能性がある」と分析した。

一方で楽観論もある。米国が自国優先主義を強化しても韓国企業は協力を通じて利益を共有できるということだ。ソク・ジョンゴン防衛事業庁長は先月22日のインタビューで「米国はすべてを単独でする場合に得る利益よりも、我々と共にする場合に得る利益が大きいとみる」とし「艦艇の整備などは我々が十分に実力を備えていて、米国が我々に手を差し出すほどの分野」と話した。