韓国最高裁「ナムヌの家、後援金払い戻すべき」…返還訴訟終盤で覆す

AI要約

韓国大法院が慰安婦被害者支援施設である「ナムヌの家」の後援金返還訴訟で原告が敗訴し、事件をソウル中央地裁に差し戻した。

ナムヌの家が後援金の使用と表示された目的に不一致があり、後援者が錯誤に陥ったと認定された。

事件は正義記憶連帯の会計不正問題から発端し、後援金の適切な使用が争点となっている。

慰安婦被害者支援施設である「ナムヌの家」の後援者に返すべきという最終判断が出された。韓国大法院(最高裁)は1日、慰安婦被害者後援金返還訴訟対策会がナムヌの家の運営者である社会福祉法人大韓仏教曹渓宗ナムヌの家を相手に起こした後援金返還訴訟で、原告敗訴と判断した原審を破棄し事件をソウル中央地裁に差し戻した。

◇「慰安婦被害者後援目的と使用が不一致…取り消しの理由」

大法院は「ナムヌの家が表示し後援者が認識した後援契約の目的と後援金の実際の使用現況の間に錯誤と評価できるほどの不一致が存在する。後援者が錯誤に陥らなかったならば後援契約締結に至らなかっただろう」と指摘した。「法律行為内容の重要部分に錯誤がある時には取り消すことができる」という民法第109条に該当するという趣旨だ。

裁判所が指摘した錯誤は「後援の目的」だ。ナムヌの家は後援金を受けながら、①慰安婦被害者福祉②慰安婦歴史館建設③国際平和人権センター建設――などそれぞれの目的に使われる口座を別々に記載し、原告は①慰安婦被害者福祉口座に後援した。だが「多くの後援金が特定建物の建設用途として法人に留保されている。原告の認識と一致しない」と判断した。

訴訟は2020年に尹美香(ユン・ミヒャン)元議員が理事長を務めていた正義記憶連帯の会計不正議論から始まった。ナムヌの家は正義連とともに日本軍慰安婦被害者を支援する2大団体のひとつだ。正義連問題の直後にナムヌの家の職員が国民権益委員会などにナムヌの家運営陣の不正運営疑惑を提起し事件が公論化した。

事件を調査した京畿道(キョンギド)官民合同調査団は2020年8月、「2015~2019年の後援金89億ウォンのうち慰安婦被害者が生活しているナムヌの家に送られた金額は2.3%の2億ウォンにすぎなかった。法人と施設の会計処理と運営が分離できていなかった」と発表した。国家人権委も同年10月、「ナムヌの家で多くの人権侵害事実を確認した」と明らかにした。

こうした状況を基に対策会所属の50人ほどがナムヌの家と正義連を相手に「被害者のために使用しないのに後援者をあざむいて後援金を募集した」として9000万ウォンの返還を求める訴訟を提起した。ただ正義連に対する訴訟は1審の途中で尹元議員の刑事事件(横領・背任容疑)裁判が別に進行中である関係から分離し、ナムヌの家を相手取った原告23人だけが残った。

2022年12月の1審で裁判所は「ナムヌの家が後援金を慰安婦被害者支援に使う意思がなかったのに原告をあざむいたり錯誤させて後援契約を締結させたとは見がたい」として原告敗訴の判決を下した。「後援者がナムヌの家という施設にだけ使われるよう目的を限定して後援したものと断定しがたい」という理由からだ。「ナムヌの家ではない所で生活する慰安婦被害者支援も社会福祉活動領域に該当する」という次元だ。

また、裁判所は「後援金89億ウォンのうち2億ウォンだけ施設に支出した」という事実は認めながらも、「ナムヌの家は留保された後援金を必要な場合いつでも慰安婦被害者のために使う計画であることを明らかにした」点も指摘した。昨年11月の2審で裁判所はやはり「1審判決は正当だ」としてこれを維持した。

大法院関係者はこうした原審を覆した最終判断に対し、「後援者が認識した契約の目的と後援金の実際の使用現況の間に錯誤と評価できるほどの程度の不一致が存在する場合、契約を取り消すことができると判断したもの。行為当時の将来に対する認識が実際の事実と違うならば錯誤に該当するとみたもの」と説明した。