旭川で障害者の移動支援を考えるワークショップ 市に提言へ

AI要約

旭川市内と近郊で障害者の移動支援に取り組む事業者の問題点や危機感、ワークショップでの議論内容、提出予定の要望書について報告。

利用したいけれど利用できない現状や制度の知名度不足、報酬やヘルパー不足の問題、支援者や利用者の苦悩を取り上げる。

移動支援の重要性、現状の課題、解決策についての提案や市民理解の必要性など、ワークショップでの意見や議論をまとめる。

「旭川手をつなぐ育成会」が7月21日、移動支援事業のあり方を考えるワークショップ「障害のある方の移動支援を考える!」を「おぴった」(旭川市宮前宮前1条3)で開催した。(旭川経済新聞)

 旭川市内と近郊で障害者の移動支援に取り組む事業者は、報酬の低さやヘルパー不足などの問題からここ3~5年で半減しており、最も体制が整っている事業所でも新規の利用者の受け入れが難しく、コロナ禍前まで使えていた制度が、現在はなかなか思うように使えない状況だという。そうした利用したくても利用できない実態以前にも、制度自体があまり知られていないという状況により、将来的に市の苦しい財政事情などから制度自体が縮小されることになりかねないとの危機感から、当事者や関心のある市民に移動支援について理解を深めてもらおうと同会が企画した。

 同イベントでは、参加者が8卓に分かれ、テーブルごとに2回のグループワークを実施。1回目は移動外出についての現在の状況や問題点を共有し、2回目は解決に向けてどうすべきかを議論。テーブルごとに内容を模造紙に書き込み、内容を元に発表を行った。

 制度自体が知られていない、どこに連絡していいのか分からない、使いたいときに使うのが難しい、具体的な費用が分からないなどの問題点が挙げられ、「動けるうちは通院やレジャーに連れて行けるが、自分がいなくなった時を考えると不安。免許証も返納できない」と、苦しい心の内を語る親の姿も。

 解決に向けては、現在の制度では事業者の報酬が極端に少なすぎるため、報酬を増やして移動支援に取り組む事業所を増やしたり、なり手の待遇改善を図ったりりすることのほか、放課後デイサービスとの連携、インクルーシブなまちづくりの観点から市民理解を広げる必要性を訴える声などが上がった。障害者の外出は「社会的外出=病院など生きていくための外出」と「余暇的外出=楽しむための外出」の2つがある中、「支援者側としては楽しむための外出もかなえたい。障害者の生きがいや生存権を反映できるような使いやすい制度が必要」と話す支援者も。

 同会副会長の野々村雅人さんは「人手不足と報酬不足という堂々巡りの議論になりがちだが、まずはできることで進んでいくことが大事。合理的配慮が必要な人々に持続可能な支援を続けるため、これからも向き合い続けていきたい」と話す。

 同会ではワークショップでの意見をとりまとめ、8月に旭川市に要望書を提出する予定。