名門大卒お嬢様がエリート官僚と結婚、妊娠後にまさかの「地獄の日々」へ…夫が放った「衝撃の一言」

AI要約

美紀と達也の結婚に亀裂が入り始めるきっかけは美紀の妊娠であり、達也の無理解や冷たさが問題となっている。

モラハラについての認識の違いや幅広さが明らかになっており、被害者の感じ方による大きな影響があることが示されている。

訪れるカップルの多くが、裁判所を利用するわけではないが、話し合いが難しい場合にADRセンターを利用し、人間味あふれる対話を行っていることが述べられている。

名門大卒お嬢様がエリート官僚と結婚、妊娠後にまさかの「地獄の日々」へ…夫が放った「衝撃の一言」

筆者は「家族のためのADRセンター」という民間の調停センターを運営している。取り扱う分野は親族間のトラブル全般であるが、圧倒的に多いのが夫婦の離婚問題である。ADRは、「夫婦だけでは話し合いができない。でも、弁護士に依頼して裁判所で争いたいわけではない」という夫婦の利用が多いため、裁判所を利用する夫婦に比べると紛争性が低い。また、同席で話し合うことも多く、その夫婦の夫婦らしさというか、人間味のあるやり取りになることも多い。そこで「ADR離婚の現場から」シリーズと名付け、離婚協議のリアルをお伝えしたい。

※紹介事例は「あるある」を詰め込んだ架空の事例である。

モラハラという言葉は既に市民権を得ており、相談やADRの現場でも毎日のように聞かれている。モラハラは実に幅広い。少し言葉が乱暴なだけでモラハラだと主張されることもあれば、立派な精神的DVであっても、それに気付いていない場合もある。その人の感じ方によるところが大きいのだ。ぜひ、以下の事例を「自分ならどう解決するか」、そんなことを考えながら読んでいただきたい。

監修:九州大学法科大学院教授・入江秀晃

<夫婦の経過>

美紀は大学を卒業し、大手企業に就職して3年が経過した頃、現在の夫である達也に出会った。友達に誘われて合コンに参加したところ、キャリア官僚の卵である達也が前に座っていたのだ。美紀はいわゆる「お嬢様」で、それなりにいい大学を出たが、社会人になってからはあまり評価されずにいた。そんな美紀にとって、達也は何だかキラキラして見えた。達也も才色兼備な美紀に惹かれた。互いに惹かれ合って交際が始まり、交際1年で結婚に至った。

しかし、幸せな時間は束の間、二人の関係に亀裂が入り始めた。きっかけは、美紀の妊娠であった。達也は、つわりでしんどい美紀を労わることもなく、休日は気ままにひとりで出かけていった。ときには、「つわりは病気じゃないでしょ。寝ていても治らないんだから、俺の食事くらい作ってくれる?」と冷たく言うこともあった。