金正恩氏の指示、部下がそのまま実践せず?「空回り」状態 識者分析

AI要約

北朝鮮で金正恩総書記の偶像化が進んでおり、金正恩バッジや肖像画が登場している。一方、金正恩の政策に関する幹部の対応が遅れており、空回り状態にあるとの指摘もある。

金正恩氏の指示に従わない幹部も目立ち、地方創生計画「地方発展20×10政策」などでの遅れが顕著になっている。

金正恩氏が独自の政策を進める一方、幹部らの対応が追いつかず、指導力の限界が浮き彫りになっている。

金正恩氏の指示、部下がそのまま実践せず?「空回り」状態 識者分析

 北朝鮮で金正恩(キムジョンウン)総書記の顔があしらわれた「金正恩バッジ」を付けている朝鮮労働党幹部の姿が6月、北朝鮮メディアの報道で確認された。5月には、祖父の金日成(キムイルソン)主席、父の金正日(キムジョンイル)総書記に加え、金正恩氏まで3代を並べた肖像画が、党中央幹部学校に飾られているのも報じられている。

 こうした動きについて、まだ40歳とされる金正恩氏の偶像化を加速させる狙いとみられている。一方、公安調査庁で長年、北朝鮮の動向を注視し、分析にあたってきた坂井隆氏よると、最高指導者である金正恩氏の意図や指示を党幹部らが確実に実践していないのではないか、と思われるケースが最近、目立っているという。

 その一つが、今後10年間で毎年20カ所の地域に工場を新設する地方創生計画である「地方発展20×10政策」だ。金正恩氏は2年前から地方での工場建設を繰り返し呼びかけていたが、昨年末の党の重要会議である中央委総会では、今年数カ所だけ建設する計画がいったん採択された。それを今年1月、金正恩氏が「消極的」だと批判し、改めて会議を開いて方針決定となった。

 坂井氏は「金正恩氏がひとり先走って、他の幹部たちがそれについていけていない局面もある」との印象を持つといい、金正恩氏が一種の「空回り」状態にあると指摘する。(箱田哲也)