ハリス氏は「インド系から黒人になった」 トランプ氏が言いがかり
AI要約
11月の米大統領選で共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を人種的に攻撃し、ハワード大学を卒業した黒人女性であるハリス氏が自らを黒人として認識していることに対してトランプ氏が批判を浴びせた。トランプ氏は過去にも政敵の出自について疑問を投げかける発言を繰り返しており、今回もその傾向が見られる。ハリス氏は両親の離婚後、母親の影響で黒人地区で育ち、ハワード大学や法科大学院で黒人のコミュニティに参加してきた。一方、トランプ氏はハリス氏の人種的アイデンティティに対する不当な疑念を広める一方、黒人出身のオバマ元大統領やインド系のヘイリー元国連大使にも同様の主張をしてきた。トランプ氏の人種的攻撃に対し、ホワイトハウスの報道官が報道会見で反論し、トランプ氏の発言が侮辱的であると非難した。トランプ氏はハリス氏自身が自らをインド系として宣伝することに疑念を示し、その背後には政治的意図がある可能性が指摘されている。
11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党のドナルド・トランプ前大統領（78）は7月31日、中西部イリノイ州シカゴで開かれた黒人ジャーナリスト団体のイベントで、民主党候補指名が確実視されるカマラ・ハリス副大統領（59）は「いつからかインド系から黒人になり、今は黒人として知られようとしている」と言いがかりをつけた。イベント後には、ソーシャルメディアへの投稿で「狂ったカマラは人種さえも（選挙に）利用する」と一方的に主張した。
米メディアによると、ハリス氏は、ジャマイカ系の黒人の父とインド系移民の母の間に生まれた。自身は幼少期から「黒人」として育てられたと説明している。トランプ氏の発言に対し、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は同日の記者会見で「ひどく不快で侮辱的だ」と反発した。
トランプ氏は31日のイベントで「彼女のことは間接的に古くから知っているが、いつもインド系だと自ら宣伝しており、黒人だと知らなかった。だから彼女がインド系なのか、黒人なのか分からない」と語った。
ハリス氏は幼少期に両親が離婚し、インド系の母のもと、黒人地区で「黒人の娘」として育てられたという。長年、黒人に教育機会を提供してきたハワード大学を卒業し、法科大学院でも黒人の学生組織のメンバーだった。
トランプ氏は過去にも政敵の出自に言いがかりをつけ、「ルーツが怪しい」という根拠のない印象づけを図ってきた。黒人のオバマ元大統領について「外国で生まれた」と何度も主張したり、今回の共和党候補指名を争ったインド系のヘイリー元国連大使がインド名を意図的に使っていないと示唆したりしてきた。【ワシントン秋山信一】
