韓国・国家情報院の「エージェント」だったのがバレて逮捕の元CIA分析官、10年以上も米当局に行動確認されていた

AI要約

元CIAの北朝鮮問題の専門家である韓国系アメリカ人のスー・ミ・テリー氏が、韓国政府のために活動していた疑いで米連邦検察に逮捕・起訴された。

テリー氏は、韓国政府の要求に応じてアメリカの高官や元高官との非公式会合を設け、さまざまな情報交換を行っていた。その際に高級ブランド品を贈られたことも明らかになっている。

韓国内では政府の対応に不信感が広がり、国家情報院の能力についても疑問が呈されている。

■ 元CIAの北朝鮮問題の専門家

 韓国系アメリカ人のスー・ミ・テリー(Sue Mi Terry)元CIA分析官が韓国政府のために活動してきた疑いで米連邦検察によって逮捕・起訴された。

 韓国とアメリカを行き来しながら対北韓専門家として活動してきたテリー氏は、2001年から2008年までCIAで勤務して以来、オバマ政権でホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)の韓国、日本、オセアニア担当局長を歴任。2010年退職後は有数のシンクタンクで朝鮮半島専門家として活動してきた人物だ。

 テリー氏は逮捕当日、保釈金50万ドル(約7690万円)を支払って釈放されたが、韓国内では動揺が走っている。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、韓国の歴代政権の中でもっとも米韓同盟強化に力を入れているだけに、テリー氏の逮捕・起訴についてアメリカ政府の「真意把握」に腐心している。一方、韓国世論からは韓国の情報機関・国家情報院の能力の“お粗末さ”に非難が集中している。

 米連邦検察によると、テリー氏は2013年に国家情報院関係者と接触して以降、すでに10年以上、韓国政府のエージェントとして韓国政府の指示を受けてきたという。

■ 見返りに高級ブランド品も

 韓国メディアが紹介した起訴状の内容に現れた彼女の主な容疑は次の通りだ。

 2019年1月、テリー氏は勤務しているシンクタンクでアメリカ国防総省の高官や元高官に、ワシントン訪問中の韓国の徐薫(ソ・フン)国家情報院長や国家情報院の職員を引き合わせ、非公式会合の場を設けた。この年の2月にはベトナム・ハノイで2度目の米朝首脳会談が予定されていた。「仲介外交」に力を入れていた韓国・文在寅政権としては、アメリカの“本音”を知っておきたかったはずだ。そこで国情院は、徐院長の訪米の1カ月前、テリー氏に電話し、米当局者との「非公式ラウンドテーブル」を要求し、出席してほしい米当局者リストを提示していた。その要望にテリー氏は見事に応えたということだろう。

 非公式会合が実現した数日後、国情院関係者はテリー氏の携帯に「よい出会いがあって、満足している」とショットメッセージを送った。さらにその数日後、この国情院関係者はテリー氏に2854ドルのドルチェ&ガッバーナのコート、2950ドルのボッテガ・ヴェネタのハンドバッグをプレゼントしたという。

 22年6月、テリー氏はトニー・ブリンケン米国務長官とアメリカの対北韓政策に関する非公開ミーティングを終えた後すぐに、国情院のハンドラーに手書きのミーティングメモを渡している。そして数日後、ハンドラーの要請により米議会の職員たちと国情院関係者と食事会を取り持った。食事代は国情院が支払った。