”凱旋門賞”の競馬場から”全仏オープン”のコートまで!あらゆる施設を飲み込んだ「ブーローニュの森」の全貌

AI要約

2024年の夏、オリンピックの開催で注目されるフランス・パリ。長年世界中の人々の憧れの的となっているこの街で、著者が独自の視点からパリの歴史を物語る。

パリオリンピック中の今こそ知っておきたい魅力を紹介。パリの有名な森林公園であるル・ボワから、馴化園や現代美術館などの施設が紹介されている。

ナポレオン3世の時代に整備されたル・ボワは、かつては強盗や追い剥ぎが横行していた場所だった。現在はジョギングやサイクリング、スポーツを楽しむ人たちが訪れる。

”凱旋門賞”の競馬場から”全仏オープン”のコートまで!あらゆる施設を飲み込んだ「ブーローニュの森」の全貌

2024年の夏、オリンピックの開催で注目されるフランス・パリ。「芸術の都」「花の都」「美食の街」などの異名をもつこの街は、長年世界中の人々の憧れの的となっている。そんなパリに傾倒して何度も訪れ、人生の大半を捧げてきた著者が、パリの歴史を独自の視点から物語る。

『物語 パリの歴史』(高遠 弘美著)より抜粋して、パリオリンピック中の今こそ知っておきたいたくさんの魅力を紹介する。

フランス語で、大文字で始めてle Bois(ル・ボワ)とすると、ブーローニュの森を指すほど有名な森林公園ですが、いまのように整理されたのはナポレオン3世の時代です。とくに中世には強盗や追い剥ぎが横行していたと言います。プルースト『失われた時を求めて』で、スワン夫人となったオデットが毎朝散歩をするのが「ボワ」でした。いまではジョギングやサイクリングやスポーツをする人たちが少なくありませんが、900万平方メートル近くある広大な森なので、いくつもの施設が入っています。

・馴化園 Jardin d’Acclimatation

もともと異国の動物の飼育研究をするための動物園として企画され、ナポレオン3世の命によって、1860年に開園しました。中には高さ十数メートルもある塔形式の鳩舎があり、普仏戦争でパリが攻囲されたときは伝書鳩を飛ばすのに用いられました。日本の木曽の民家(Maison de Kiso)が移築されていたり中国式の建物が建っていたり、人形劇の劇場があったり、子どもでも安心して乗れる馬や乗り物があったりという、遊園地と公園と動物園を兼ねた施設です。メトロ1号線ポルト・マイヨー駅からミニトレインが出ています。

・ルイ・ヴィトン財団美術館 Fondation d’entreprise Louis Vuitton

馴化園の南側に2014年10月に開館した現代美術館。脱構築主義建築の建物です。ガラスを多用し、風を孕んだマストがばらばらに重なっているような斬新な建築物です。特別展として2018年から2019年にかけてエゴン・シーレ展が開かれました。