ネタニヤフ氏、停戦協議に言及せず 支持率低迷で戦闘に固執の見方

AI要約

イスラエルのネタニヤフ首相は停戦協議の詳細には触れず、ハマスとの人質解放が焦点となっている。

人質解放に向けて交渉が進展しているものの、疑念も残る状況でネタニヤフ首相の求心力が低下している。

極右勢力はハマス壊滅まで戦闘を主張しており、ネタニヤフ首相を支持している。

【カイロ=佐藤貴生】イスラエルのネタニヤフ首相は米議会の上下両院合同会議で行った演説で、イスラム原理主義組織ハマスとの人質解放を含む停戦協議の詳細には言及しなかった。ハマスの奇襲を許した昨年10月以降、ネタニヤフ氏は支持率低迷が続いており、首相の座を追われかねない国会選を避けるため、戦闘継続に固執しているとの指摘も少なくない。

イスラエルのメディア報道では、ガザでの拘束が続く人質約120人のうち40人前後は死亡したとの観測もある。人質救出は待ったなしの課題だ。中道野党を率いるラピド前首相は、ネタニヤフ氏が「人質解放の協定に触れずに1時間しゃべった」と批判した。

ネタニヤフ氏は米国訪問を開始した22日、人質の家族らとの面会で解放交渉は進展していると表明した。しかし、家族らの間では発言は訪米期間中の米政府高官らとの会談をやり過ごすための方便で、本音は交渉の妥結阻止ではないかという疑念も聞かれる。

イスラエルのニュースサイト「タイムズ・オブ・イスラエル」によると、今月中旬に発表された同国内の世論調査で、ネタニヤフ氏は「直ちに首相を辞任すべきだ」「終戦後に辞任すべきだ」という回答を合わせると、全体の72%に上った。

求心力が衰えるネタニヤフ氏を支えるのが、連立に参加している極右勢力だ。ハマス壊滅まで戦闘を続けるべきだと主張している。