鉄筋が切れセメントが乾く…韓国建設沈滞に揺らぐ後方産業

AI要約

建設景気が沈滞し、建設後方産業が影響を受けていることが明らかになった。

鉄鋼、セメント、レミコンなどの資材発注が急減し、業界全体が厳しい状況にある。

政府は公共工事発注を増やすなどの対策を講じているが、業界全体の対応が求められている。

鉄筋が切れセメントが乾く…韓国建設沈滞に揺らぐ後方産業

建設景気沈滞が2年近く続き、鉄鋼、セメント、レミコンなど建設後方産業の憂いが深まっている。高金利と工事費急騰で施行会社や建設会社が大挙着工を先送りし、工事に投入される鉄筋とセメント、レミコンなどの資材発注が相次ぎ急減してだ。

建設工事で最初に投入されるのが骨組み工事に必要な鉄筋だ。鉄鋼業界は昨年から鉄筋発注が途絶え最初に打撃を受けた。韓国鉄鋼協会によると1~5月の国内粗鋼(鉄鋼)生産量は2638万トンでやはり2010年から14年ぶりの低水準を記録した。ここに値段が安い中国製鉄筋まで押し寄せて「二重苦」に陥っている。

業界1位と2位の現代製鉄と東国製鋼は工場稼動率を例年の60%水準に下げたり電気料金が安い夜間操業に出るなど苦肉の策を使っている。鉄鋼の在庫が貯まっており生産量縮小に乗り出している。鉄鋼業界関係者は「施工者が着工を先送りすればわれわれには発注が途絶えるのと同じこと。減産を1年間に3回もしているが極めて異例なこと」とため息をついた。

建築主要原材料であるセメントとレミコンも「需要の崖」に直面した。韓国セメント協会によると1-3月期のセメント出荷量は1053万トンで前年同期比13.4%減少した。在庫は129万トンで前年同期比59.3%急増した。韓国レミコン工業協会関係者は「上半期の出荷量が前年同期より業界平均で30%減り、地方では40%まで減少した。建設景気沈滞がさらに長引けば倒産する業者が出てくるかもしれないとの懸念が出ている」と話した。

不動産プロジェクトファイナンス不良化の懸念に工事費まで高騰しており、昨年から着工に入れていない建設事業所が増えている。国土交通部によると、自治体から許認可を受けながら着工していない着工待ち物件が昨年基準約33万戸と集計された。こうした着工待ち物件は2021~22年には40%程度だったが昨年は63%に急増した。実際に昨年の全国の建築着工面積は前年比31.7%減少した7568万平方メートルを記録した。世界的金融危機で着工が急激に萎縮した2009年の7125万平方メートルから14年ぶりに最も低調な数値だ。

これは施工者などと下請け契約を結んだ協力企業には受注急減につながっている。京畿道高陽市(キョンギド・コヤンシ)の工事現場で会った骨組み専門建設業者代表パクさんは「仕事が2年前より半分以上減った。それだけ入札競争が激しくなり最低価格入札になるのが常で売り上げが落ちている。最近やむを得ず従業員を減らした」と話した。他の装備業者関係者も「フォークレーン10台のうち半分は工事がなく遊んでいる」とした。

首都圏広域急行鉄道(GTX)A路線の基点である京畿道坡州市(パジュシ)の雲井(ウンジョン)駅近くにある工事現場は鉄の扉が堅く閉ざされたまま雑草だけが生い茂っていた。韓国土地住宅公社(LH)が2022年に事前請約まで進めた事業所だがこの2年間で工事費が急騰し施行会社が結局施工者を確保できず事業が中止された。レミコン業界関係者は「民間が萎縮すればインフラのような公共工事でも発注が増えるべきだが政府も税収が減り工事発注を例年ほどにはできないだろうという話が広まっている」と話した。

後方産業が突破口を開くには前方である建設景気が回復する以外に妙案がないというのが問題だ。大韓建設協会によると、2022年に229兆7000億ウォンに達した建設受注は昨年189兆8000億ウォンに減り、今年は170兆2000億ウォンとさらに縮小することが予想された。統計庁によると建設業雇用は昨年12月から10カ月にわたり前年同月比で減少している。

韓国政府は公共工事発注を増やす形で対応に出た。韓国土地住宅公社は下半期の工事諮問発注に当初計画より1兆ウォン多い15兆3000億ウォンを投じることにした。南楊州王宿(ナムヤンジュ・ワンスク)、高陽昌陵(コヤン・チャンルン)など3期新都市5000戸も発注計画に含んだ。

韓国建設産業研究院のパク・チョルハン研究委員は「現在着工されていない主な理由である工事費の問題とプロジェクトファイナンス不良緩和に向け政府が事業所ごとに細かく対応しなければならない。政府の対策がまだ現場に適用されていないという声が多い」と話した。また「政府が3期新都市など公共工事発注を最大限増やしているだけに、着工現場が早く再開されるよう原材料・建設業界間の価格対立に対しても先制対応が必要だろう」と付け加えた。