だれが当選しても…米国はさらに4年「保護貿易」

AI要約

バイデン氏の大統領選撤退による市場不安が広がり、韓国経済にも影響が出ている。

暗号資産市場はトランプ氏の当選確率が高いとの期待でビットコイン価格が上昇した。

ハリス氏がバイデン政権を引き継ぎ、経済政策を維持する見通し。

市場では不確実性が高まり、韓国株価やウォン相場に影響が現れた。

暗号資産市場はバイデン氏の撤退による地殻変動に反応して活況を見せている。

米国の保護貿易基調はどの候補が当選しても維持される見通しで、韓国は対米投資や輸出戦略を適応していく必要がある。

反転を繰り返す米国大統領選挙が韓国経済に及ぼす影響が注目される。バイデン米大統領が大統領選挙レースから撤退し、ハリス副大統領を後継に指名してだ。ハリス氏は最近までバイデン氏とともに働いてきただけに経済政策で差別点は大きくない見通しだ。ただ第3の民主党候補が登板する可能性もある。共和党大統領候補のトランプ前大統領と「共通分母」である保護貿易主義対応が韓国の課題だ。

米大統領選挙まで100日ほど控えた見通しは「視界ゼロ」に近い。市場は不確実性に注目した。21日にバイデン氏撤退のニュースが伝わった直後、シカゴオプション取引所(CBOE)の変動性指数(VIX)は前日より0.59ポイント(3.70%)上がった16.52を記録した。この3カ月で最高値だ。VIXは市場変動性を測る尺度で、「恐怖指数」と呼ばれる。数値が高いほど証券市場の変動性が拡大する可能性があるという意味だ。

変動性は韓国の金融市場に悪材料として作用した。22日の韓国総合株価指数(KOSPI)は外国人投資家と機関投資家の売り越しにより前営業日より1.14%下落した2763.51で取引を終えた。ソウル外国為替市場でウォン相場は前営業日より1.50ウォンのウォン安ドル高となる1ドル=1388.20ウォンを記録した。ウォン相場は取引時間中に一時1390ウォン水準までウォン安が進んだが午後に入り下落幅が縮小した。新韓投資証券のイ・ジェウォン研究員は「現職米国大統領の大統領選挙撤退という初めての事態で不確実性が大きくなった」と分析した。

代表的な暗号資産のビットコイン価格は1カ月ぶりに6万8000ドルを超えた。暗号資産市況中継サイトのコインマーケットキャップによると、韓国時間でこの日午前9時40分にビットコイン価格は6万8418ドルで24時間前より1.99%上昇した。ビットコイン価格が6万8000ドルを超えたのは6月11日以来だ。バイデン大統領の撤退にともなう大統領選挙の地殻変動にも、暗号資産に友好的なトランプ前大統領の当選確率が高いからだ。

当分衝撃は避けられない見通しだ。現時点で確実なことはバイデン政権ナンバー2であるハリス氏が「バイデノミクス」を公約として引き継ぐだろうという見通しだ。ハリス氏はバイデン大統領在任時の経済成果を強調し、表向きは自由貿易を擁護しながらも、対中強硬基調を支持し、労働者の権利と環境保護を強調してきた。CHIPS法、インフレ抑制法を通じて半導体と電気自動車、親環境エネルギーの米国内投資に補助金を出したり大企業法人税を引き上げるなどの政策を維持する見通しだ。

韓国対外経済政策研究院のカン・グサン北米欧州チーム長は「バイデン氏の撤退が(政策の失敗ではなく)個人の健康と資格問題のためだっただけに、ハリス氏が民主党の大統領選挙公約と政策をそのまま守って行くだろう」と予想する。

ハリス氏の大統領選挙戦が順調に進むかとは別個に米国の既存の保護貿易基調は維持される見通しだ。トランプ氏を含めだれが当選しても方式に違いがあるだけで米国優先主義と中国との不公正貿易慣行抑制に同じ思いを持っているためだ。米国内の製造業投資にインセンティブを与え、先端技術で米国と競争する外国企業に不利益を与える経済基調を継続する可能性が大きい。

韓国は▽米中供給網対立持続に備えて対米投資を増やしても中国とトラブルの種を作らないなど米中均衡輸出戦略を推進し▽エネルギー分野政策に変動があっても電気自動車、原子力発電、再生可能エネルギー投資を継続して▽韓米同盟強化の延長線で防衛産業などの分野で協力を継続すべき――という助言が多い。