共和党の副大統領候補バンス氏は「大の中国嫌い」、さっそく牽制しはじめた中国

AI要約

米共和党副大統領候補が中国批判を展開、中国の台湾侵攻に懸念を表明

バンス氏は中国に対する非常に厳しい姿勢を示しており、アメリカの産業保護を訴えている

中国との経済や安全保障に関わる問題について具体的に取り組む姿勢を示している

■ 党の副大統領候補になったとたんに中国批判

 7月15日の米共和党大会初日に、大統領公認候補となったドナルド・トランプ前大統領は、「ランニング・メイト」の副大統領候補に、39歳のJ・D・バンス副大統領候補(オハイオ州選出上院議員)を指名した。するとバンス候補は、受諾指名演説で早速、中国を名指しで批判した。

 「私の故郷は、ジョー・バイデンに台無しにされ、犠牲になってきた。われわれはアメリカの労働者の賃金を守っていく。その裏で、中国共産党が彼らの中産階級を築くのをストップさせる。

 中部の人々、オハイオ、ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア……。これら忘れられたわが国のすべてのコミュニティ。

 私はあなたたちに、一つ約束する。自分がどこから来たか、絶対に忘れない副大統領になると」

 このようにバンス氏は、「自分の故郷」=「ラストベルト(錆びた地域)」=「廃(すた)れた製造業」=「製造業は中国に移転」=「中国が繫栄」=「中国を許さない」という図式を示したのである。

 実際、バンス氏は、副大統領候補の指名を受ける前から、中国に対して非常に厳しい姿勢を見せてきた。例えば、メディアとのインタビューや上院の公聴会などで、以下のように語っている。

■ 「中国が米国から多くの雇用を奪っているのが気に入らない」

 「われわれが何よりも防がなければならないのは、中国の台湾侵攻だ。そうなれば、この国にとって壊滅的だ。非常に多くのコンピューターチップが台湾で製造されており、わが国の経済全体を大きく損ねることになる」(ブルームバーグ・ビジネスウィーク)

 「中国が台湾に侵攻した場合に起こり得る、東アジアでの戦争を支援できるような産業能力は、われわれにはない。このため、アメリカは(他国への支援を)選別する必要がある」(FOXニュース)

 「中国は真の実力を重視している。実際のところ、われわれがどれほど強力なのかということに、彼らは注目している。中国への対抗で十分な強さを確保するためには、われわれはそこに集中しなければならない。いまは手を広げ過ぎている」(FOXニュース)

 「アメリカの産業を、あらゆる競争から守る必要がある。中国がわれわれに勝つのは、彼らの労働力が優れているからではない。そうではなくて、彼らが『奴隷』(強制労働させられている新疆ウイグル自治区のイスラム教徒たちを指す? )を使ってでも、物を作ろうとするからだ」(CBS)

 「私は中国が好きではない。中国がアメリカから多くの雇用を奪っているのが気に入らない。われわれは、ばかばかしい外交政策を追求することが非常に多いため、十分なものがつくれない。もっと自立しなければならない」(CBS)

 「中国(の体制)をわれわれに近いものにさせられれば、長期的には価値がある。そのような根本的な目標が実現しなかったのであれば、プロジェクト全体を考え直さなければならないと思っている」(ポリティコ)

 「われわれの産業の多くを中国に移しているようでは、技術革新は望めない。アメリカの産業をより高価なものにし、中国の産業をより安価なものにするならば、それはアメリカの消費者にとっても、アメリカの技術者にとっても、そして最終的には、アメリカの安全保障にとっても、実に悪い取引だと考えている」(上院公聴会)

 「中国共産党がアメリカのルールに従いたくないのであれば、われわれの金融市場へのアクセスを認めるべきではない。オハイオ州の労働者や、われわれの製造業は、あまりにも長い間、中国共産党の違法な為替操作による影響に苦しめられてきた。いまこそ、彼らの責任を追及し、法律に従わせる時だ」(今年3月の発言)(以上、7月18日付ブルームバーグの記事から引用)