トランプ氏が全米運輸労組に秋波、企業寄りだった共和党の立場複雑に

AI要約

米共和党全国大会でチームスターズの会長がトランプ前大統領を支持し、「タフなS.O.B.」と呼び、労働者の擁護者として演説。

演説では、ポピュリズムを受け入れる共和党の課題や企業の強欲を批判し、労働者の団結を強調。

共和党員が冷ややかな反応を示す中、オブライエン氏は組合加入を訴え、ポピュリズムの拡大を試みている。

トランプ氏が全米運輸労組に秋波、企業寄りだった共和党の立場複雑に

(ブルームバーグ): 15日開幕した米共和党全国大会で全米運輸労組(通称チームスターズ)のショーン・オブライエン(Sean O’Brien)会長が、 同党の大統領候補に正式指名されたトランプ前大統領を「タフなS.O.B.」と呼んだとき、前大統領は顔をほころばせ、支持者らは歓声を上げた。

伝統あるチームスターズの会長がこうした機会に演説するのは初めてだ。だが演説の別の部分は共和党が直面するイデオロギー的課題を浮き彫りにした。本来なら大企業寄りの同党がポピュリズムを受け入れ、米労働者の擁護者として自らを塗り替えようしている。

同大会におけるオブライエン氏のスピーチは、130万人の組合員がトランプ氏支持にオープンであり、また正式な支持表明さえあり得ることをほのめかした。こうした明確な示唆は、米労働組合指導者としては異例だ。

もっとも演説は労組加入の奨励と企業の強欲に対する非難も伴った。こうしたメッセージは、共和党の大多数に加え、党内がトランプ氏と共にポピュリズムに傾斜しても同党を資金面で支える大口献金者とってなお禁句といえる。

「米国民が民主的な組合で結束してこそ、賃金や福利厚生、労働条件の真の改善を勝ち取ることができる」とオブライエン氏は語り、アマゾン・ドット・コムといった巨大企業や全米商工会議所、企業の経営首脳を代表する業界団体ビジネス・ラウンドテーブルなどを批判した。

「この国で最大の福祉を得ているのは企業であり、これは真の腐敗だ。われわれは労働者を第一に考えなければならない」と訴えた。

共和党員から冷ややかな反応も

労働者を標的とする「経済的テロ」を批判した同氏の辛辣(しんらつ)な発言に、会場内の共和党員が冷ややかな反応を示す場面もあった。

共和党指導者や全国大会代表は、一段と広範な組合加入を呼び掛けるオブライエン氏の立場を全面的に受け入れることには抵抗しつつも、ポピュリズムの訴えで、民主党から有権者を引き剝がしていると自信を抱いている。