WSJが香港記者を解雇 「上司から辞退要求」拒否、協会トップ就任

AI要約

香港の記者らでつくる「香港記者協会」の主席に就いた鄭嘉如記者が、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)から解雇された。鄭氏は主席に就任後にリストラ理由で解雇通知を受けたが、事前に立候補を辞退するよう求められていたことを主張している。

英国の上司からの指示や香港の報道の自由に対する考え方についても述べられており、香港国家安全維持法施行後も、報道の自由を支持し続ける記者らの姿勢が浮き彫りになっている。

WSJの立場やコメント、記者協会の活動内容などが報じられている中で、香港のメディア情勢の複雑さや報道機関と政治状況との関係性が示唆されている。

WSJが香港記者を解雇 「上司から辞退要求」拒否、協会トップ就任

 香港の記者らでつくる「香港記者協会」は17日、今月、協会トップの主席に就いた鄭嘉如記者が、所属していた米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)から解雇されたと発表した。鄭氏はWSJからリストラが理由だと説明を受けているが、事前に主席に就かないよう求められていたと主張。主席に就任したことで不当に解雇されたと訴えている。

 報道陣の取材に応じた鄭氏によると、6月にあった記者協会の主席選挙の前日、英国にいる上司から「仕事と両立できない」として立候補を辞退するよう求められた。鄭氏は拒否したが、上司は「報道の自由が確立している西側諸国ならともなく、香港のような場所で報道の自由を擁護しているとみなされるべきではない」と述べたという。今月1日に主席に就任したが、17日に「リストラ」を理由に解雇を通知された。

 WSJは今年5月、アジアの地域本部を香港からシンガポールに移転。香港で多くの従業員が解雇されたが、鄭氏はその際はリストラの対象ではなかったという。

 朝日新聞の取材に対し、WSJの担当者は「人事異動があったのは確かだが、特定の個人についてはコメントしない」としたうえで、「WSJはこれまでも、これからも香港と世界の報道の自由の擁護を続ける」と回答した。

 記者協会は香港で報道に携わる約300人で構成。2020年に反政府的な言動を取り締まる香港国家安全維持法が施行されて以降も報道の自由を支持する立場を堅持しているが、「反中組織」として親中派から批判を受けたこともある。(台北=高田正幸)