「人生がアメリカンドリーム」…「39歳の貧困層出身」がパートナー、トランプ氏の狙い(1)

AI要約

トランプ氏は若手の共和党上院議員であるJ.D.バンス氏を副大統領候補に指名し、選出を自ら公表した。バンス氏は苦難を乗り越えて成功を収めた人物であり、トランプ氏の忠実な支持者となっている。

トランプ氏はバンス氏の忠誠度を最重視し、トランプアジェンダの信奉者としてバンス氏を選出した。バンス氏は移民政策や経済政策でトランプ氏の路線を支持し、トランプ氏の政策を継承し発展させることが期待されている。

バンス氏の過去や変遷、そしてトランプ氏との関係などから、トランプ氏の副大統領候補指名には複数の戦略が組み込まれている。トランプ氏の政権は2期目に向けて新たな展開を迎えることが期待される。

「あなたこそ私を最もよく支えることができる方だと考える。私が勝利できるように助けてほしい」。

トランプ前米大統領(78)は自身のランニングメイトとしてJ.D.バンス共和党上院議員(39、オハイオ州)を指名した後、電話をかけてこのように話したという。バンス氏は15日(現地時間)、共和党副大統領候補に指名された後、最初のインタビュー(FOXニュース)でトランプ氏が自身を選んだ理由を自ら説明した。

トランプ氏はこの日午後3時過ぎ、自身のSNSでバンス氏を副大統領候補に選んだ事実を公開した。トランプ氏は「長い熟考の末、私は米国の副大統領職を引き受けるのに最も適した人物にJ.D.バンス上院議員を決定した」と明らかにした。当初、ウィスコンシン州ミルウォーキーで15日に開幕した全党大会現場で午後4時37分ごろ副大統領候補指名者が公開されると伝えられたが、トランプ氏が1時間ほど早くSNSで公開したのだ。トランプ氏は大統領在任当時にも主要人物や懸案に関する発表をSNSで突然に発表したりした。

トランプ氏は「バンス上院議員は海兵隊で祖国のために服務したほか、オハイオ州立大を2年で首席卒業し、イェール大ロースクールを卒業してイェール法律ジャーナル編集長、イェール大法学在郷軍人会会長を歴任した」と紹介した。

◆不遇な幼少期、成功ストーリー

J.D.バンスという名前はフルネーム「ジェームズ・デービッド・バンス」の頭文字が入ったものだ。貧困地域出身のバンス氏は苦難と逆境を乗り越えて成功ストーリーを築いた立志伝的な人物と評価される。オハイオ州南西部の小都市ミドルタウンの貧しい白人の家庭で生まれたバンス氏は親が離婚した後、祖母の保護の下で成長期を過ごした。

海兵隊当時、イラク派兵を含めて5年間服務した後、オハイオ州立大(政治学・哲学)、イェール大ロースクール課程を終えた。その後は弁護士、ベンチャーキャピタルリストとして活躍したバンス氏は自身の回顧録『ヒルビリー・エレジー』で全国的な名声を得た。「ヒルビリー」は米国の北東部から南側に続くアパラチア山脈に暮らす貧しい白人労働者を意味する。

◆「ネバートランプガイ」から「トランプ忠誠派」に変身

ドラマチックな人生ストーリーほどトランプ氏との関係も劇的だ。バンス氏は2016年にトランプ氏が初めて大統領選挙に出馬した当時、共和党内の強い批判者の一人だった。トランプ氏を「米国のヒトラー」に例えたこともある。

「私は『トランプは絶対にいけない』という人」とし「ネバートランプバイ」を自負していたバンス氏は2020年の大統領選挙当時、トランプ氏を「生涯最高の大統領」と称えながら「トランプ・キッズ」に180度変貌した。その後、2022年にオハイオ州上院議員選挙に出馬し、トランプ氏の支援を受けて当選する過程で完全に「トランプ忠誠派」になった。

◆トランプ氏の狙い<1>変わらない忠誠

トランプ氏が2期目の同行パートナーとしてバンス氏を指名した背景には、何よりも忠誠度が最優先に考慮されたいう分析がある。特にバンス氏と親しいトランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏の説得がトランプ氏を決心させたという。トランプ氏がこの数日間、バンス氏をはじめ、マーク・ルビオ上院議員(フロリダ州)、ダグ・バーガム・ノースダコタ州知事など最終圧縮候補の中で悩んだが、トランプ・ジュニア氏は「バンス氏が『トランプアジェンダ』の真の信奉者」として強く勧めたと、CNNは報じた。トランプ・ジュニア氏はこの日、ミルウォーキーでの党全国大会でも「バンス氏の人生史はアメリカンドリームそのものだ」と話した。

トランプ政権1期目はトランプ氏本人が共和党内の基盤が弱い非主流だっただけに、保守の核心価値を標ぼうするマイク・ペンス元副大統領が弱点を相殺する適任者と判断した可能性がある。今回、事実上共和党の「筆頭株主」となったトランプ氏が2期目にいかなる状況を迎えても他の道を選択せず最後まで同じ道を進み続ける忠誠心が第一の判断基準になったのではという分析だ。

◆トランプ氏の狙い<2>「MAGA後継者」

また、移民・経済・外交などの複数の懸案でトランプ氏とほぼ同じ路線を追求するだけに、「米国最優先主義(アメリカファースト)」を追求するトランプ氏のレガシーを忠実に履行するカードと判断した可能性がある。バンス氏はウクライナに対する無条件支持に反対し、超強硬移民政策と「関税爆弾」政策を支持するなどトランプ氏と公約シンクロ率がかなり高い。このためトランプ氏の「米国を再び偉大に(MAGA)」アジェンダを最も強く推進する人物と評価されてきた。

中絶問題に関してもカトリック信者の洗礼を受けたバンス氏はかつて「妊娠15週以降の中絶禁止」を支持したが、最近は「各州が決める問題」というトランプ氏と同じ立場を見せている。ニューヨークタイムズ(NYT)は「バンス氏はトランプ氏が切実に求めていたMAGA後継者の資格を獲得した」と評価した。