北朝鮮の駐キューバ外交官が韓国に亡命、スパイ容疑で外務次官の銃殺明らかに

AI要約

北朝鮮の在キューバ大使館の参事官が妻子を伴って韓国に亡命したことが明らかになった。リ・イルギュ氏は国交正常化を阻止する任務を担い、体制への嫌気や未来への悲観から亡命を決意した。

リ氏は子供の未来を考え、韓国との統一を望む北朝鮮の住民の多くの思いを代表している。また、過去には米朝首脳会談前に韓国の外務次官や北朝鮮外相が不審な死を遂げたことを証言した。

北朝鮮外交官の韓国亡命は過去の事件に続くものであり、北朝鮮の政治体制や安全に対する懸念が高まっている。

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の在キューバ大使館の参事官が昨年11月に妻子を伴って韓国に亡命していたことが分かった。亡命したのは北朝鮮外務省切っての「キューバ通」で知られたリ・イルギュ氏で、韓国紙の朝鮮日報が16日付でリ氏のインタビューを報じた。

キューバは北朝鮮の代表的な友好国だが、今年2月に韓国と国交を正常化させた。リ氏は大使館で国交正常化を阻止する任務を担っていたという。リ氏は職務評価などを巡って外務省本部と対立。「体制への嫌気と未来への悲観」から亡命を決意したという。

リ氏は「北朝鮮の住民なら誰もが韓国で暮らしてみたいと思うようになる。子供の未来を思えば(韓国との)統一しかないとの考えを持っている」と語った。

リ氏はインタビューで、2019年2月のベトナム・ハノイでの2回目の米朝首脳会談直前に米国担当の外務次官だった韓成烈(ハンソンリョル)氏が米国のスパイ容疑をかけられ、外務省幹部らの立ち合いの下、銃殺されたと明らかにした。当時外相だった李容浩(リヨンホ)氏が在中国大使館を巡る贈収賄事件に関与したとして、19年12月に一家で政治犯収容所に送られたとも説明した。

北朝鮮外交官の韓国亡命が確認されたのは19年7月の駐イタリア大使代理や、同年9月の駐クウェート大使代理以来。