3歳の息子に「KKK」の衣装を...夫を差別主義から救ったのはイスラム教徒との友情

AI要約

夫がKKKに加入し、息子を巻き込もうとする驚愕の瞬間から始まり、家族の危機を乗り越える物語。

クリスの軍隊時代の苦難や薬物依存症からの脱却、KKK脱退の過程など、家族の困難な過去を振り返る。

元ネオナチのアーノとの出会いを通じて、KKKを離れ薬物依存症から立ち直ったクリスの軌跡。

3歳の息子に「KKK」の衣装を...夫を差別主義から救ったのはイスラム教徒との友情

2015年春のある日、夫のクリスの提案で、クリスの友達グループのバーベキューに参加することになった。みんなでホットドッグを頰張り、子供たちが元気よく遊び......そんな時間を想像していた。

ところが、そこにいたのは、白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)の独特の衣装に身を包んだ大勢の男たちだった。それはKKKの集会だったのだ。

クリスはこの日、3歳の息子のためにKKKの衣装を用意していた。驚愕のあまり、心臓が飛び出しそうになった。自分の夫が過激な差別主義者の団体に加わり、しかも幼い息子を洗脳しようとしているなんて思ってもいなかった。

クリスはこの1年ほど前からKKKに加わっていたのだ。原因はいくつかあった。一つは、米軍時代の軍用車両の事故をきっかけに鎮痛剤の依存症になったこと。依存症のせいで私たちは住む家を失い、ホームレスの収容施設で暮らした時期もあった。

米軍を辞めて同僚たちとの戦友意識を味わえなくなったこと、そしてアフガニスタンで親友を亡くしたことの喪失感にも苦しめられていた。クリスはKKKで仲間との友情めいたものを感じていたのだ。

子供たちをKKKの人種差別主義と暴力に近づけることは断じて避けたかった。けれども、クリスを見捨てることもできなかった。夫のために、家族のために戦おうと思った。

「愛する人に差別主義者のグループをやめさせる方法」をネット検索して知ったのが、アーノ・ミケイリスという人物だった。元ネオナチで、今は若者を過激思想から脱却させるために活動している。

クリスは最初嫌がったが、最終的にアーノと会うことに同意した。16年夏のことだ。面談を続けるうちにクリスはKKKを離れ、薬物依存から脱し、つらい過去と共存できるようになった。

18年のある日、アーノはクリスに、ヘバル・モハメド・ケリという友人と会うよう勧めた。ヘバルは著名な循環器科医で、難民としてアメリカにやって来たクルド系シリア人のイスラム教徒だ。