【米大統領選2024】「自分が最も適任の候補」とバイデン氏自信示す 名前の言い違い重ねるも

AI要約

ジョー・バイデン大統領が自信を持って再選に挑む姿勢を示す記者会見を行った。

バイデン氏は名前の言い間違いや外交政策、国内問題など幅広いトピックについて語った。

民主党内からは一部からは撤退を求める声も上がっているが、バイデン氏は継続を強調している。

【米大統領選2024】「自分が最も適任の候補」とバイデン氏自信示す 名前の言い違い重ねるも

今年11月の米大統領選へ向けて、民主党候補としての適性が党内外で疑問視されているジョー・バイデン大統領は11日夜、自分が大統領として最も適任で、勝てる候補としても適任だと自信を示した。1時間弱におよんだ記者会見は、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の終了を受けて行われた。生中継される単独の記者会見は昨年11月以来。

記者会見の冒頭でバイデン氏は、カマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領の名前を言い間違えた。その少し前に行われたウクライナへの支援を発表する会見では、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の名前も言い違えたが、これはその場ですぐに気づいて訂正した。

■名前の言い間違い

ワシントンで開かれたNATO首脳会議の終了後、参加国の首脳陣が並んでウクライナへの支援を発表する会見があり、そこでバイデン氏は隣に立つゼレンスキー氏を紹介する際、「決断力と同じくらい勇気のあるウクライナの大統領にマイクを渡したい。プーチン大統領」と口にした。

バイデン氏はこの間違いにすぐ気付いて訂正し、「打倒プーチンに集中していた」と釈明。ゼレンスキー大統領は「私の方が(プーチンより)いいです」と笑いながらその場をつないだ。

この約1時間後に開かれた単独記者会見の冒頭では、「もしハリス副大統領が民主党の大統領候補になった場合、彼女がトランプ前大統領に勝てるかどうか、どういう懸念がありますか」という記者の質問に対して、「いいですか、彼女が大統領になる資格がないと思ったら、そもそもトランプ副大統領を副大統領に選んでいない」と答え、そのまま応答を続けた。

バイデン氏のこの言い間違について、トランプ前大統領は自分のソーシャルメディアで「よくやったぞ、ジョー」と嘲笑した。

バイデン氏は自分の「X(旧ツイッター)」アカウントで、「もちろん、(ハリス氏とトランプ氏の)違いはわかっている。ひとりは検察官で、ひとりは重罪人だ」と反撃した。

■「最も資格がある」

大統領は冒頭の名前の言い間違いの後は、外交政策や国内経済対策など、自らの政策上の成果について約1時間にわたり詳しく答え続けた。

その締めくくりに大統領は、「自分は何としても出馬する」「懸念を鎮めることが大事だと思う」と述べ、あくまでも自分が民主党の大統領候補になるつもりだと強調した。

「国を治める人間として、一番資格があるのは自分だとわかっている。勝つため一番資格があるのは自分だとわかっている」、「私は(トランプ前大統領に)一度勝ったし、次もまた勝つ」と、バイデン氏は述べた。

これまでの予備選で獲得してきた党の代議員が、8月の全国党大会で自分を支持すると思うか、代議員は各自の良心に沿って自由に行動してもかまわないのかという質問には、「もちろん代議員は自由に、やりたいことをすればいい」とバイデン氏は答えつつ、「自分は圧倒的に支持されている」と述べた。

「もし党大会に私が登場して、代議員たちが別の人がいいと言うなら、それが民主手続きだ。しかし、そんなことにはならない」とバイデン氏は述べた。

NATO首脳たちとの会見でゼレンスキー氏とプーチン氏の名前を言い間違えたことについて、自分の状態が「悪化」していることでアメリカの国際的評価に影響が出ていると思うかと記者に質問されると、バイデン氏はこれを笑い飛ばし、「私がこの首脳会議を主催したことで、アメリカの立場が悪くなったと思うか?」、「これほど成功した会議を見たことがあるか?」と反論した。

■欧州の懸念

欧州メディアの記者は、トランプ前大統領が再選されたらアメリカは欧州から手を引くと思うか、欧州の指導者はどう備えるべきかと質問。これに対してバイデン氏は、諸外国の指導者から「頼むから勝ってほしい」、「(トランプが勝ったら)ひどいことになる」と言われていると答えた。

「外交政策は決して彼の得意分野ではないし、彼はどうも独裁者が好きなようだ」とバイデン氏は前大統領を評し、「この仕事をやる資格が一番あるのは自分だと思う」と強調。「ウクライナが負けないように、ウクライナが成功するように、そして欧州の同盟が今後も強く続くようにするには、私が適任だと思う」と述べた。

■ガザ、ロシア、中国

ガザで続く戦争については、「もうこの戦争を終わらせる時が来ている」と言明し、イスラエルとハマスの双方が停戦に合意するよう最善を尽くしていると述べた。

「私はイスラエルをよく知っているし、イスラエルを支持している」と答えたうえで、イスラエルの戦時内閣はイスラエルの歴史でも最も保守的な戦時内閣で「協力的とは言えない」だけに、対応が難しいと認めた。

「二国家解決しか答えはない」とも繰り返した。

中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領と数年後も交渉できるのかという質問も出た。これについてバイデン氏は、自分はこれまで副大統領時代を合わせると90時間は習氏とやりとりをしてきたし、「今もそうしている。今も直接、接触している」と話した。

プーチン氏については「自分のふるまいを相手に合わせて変えようという」姿勢がまったく見られないため、「現時点でプーチンと話すべきだという理由がない」と述べた。

そのうえで大統領は、「プーチンを含めて、話をしたいというどの首脳とも話す用意がある」と強調した。

■橋渡し役でなくなった理由は

記者団からは、民主党内から撤退を求める声が出ていることについて質問が相次いだ。

これについてバイデン氏は、「自分の功績(の確立)のためにやっているわけじゃない。自分が始めた仕事を完成させるために続けている」のだと答えた。

2020年大統領選の時点では、自分は次世代のリーダーたちへの移行を見守る「橋渡し役」だと話していたが、なぜ2期目を目指すことにしたのか、「何が変わったのか」記者に質問されると、国を取り巻く状況が変わったのだと、バイデン氏は答えた。

「経済、外交、国内の分断において、私が引き継いだ状況の深刻さが変わった」からだと、大統領は説明した。

そのうえでバイデン氏は、自分が再選された方がアメリカのためになると強調。自分の政権で多数の大型法案を可決させてきたことや、アメリカのインフレ率を引き下げるため闘ってきたことなどを強調。労働組合や半導体産業も後押ししてきたと述べた。

「私たちが成果を出していないなどという、主流派のエコノミストがいるなら教えてほしい」と、バイデン氏は述べた。

国内問題については、銃犯罪の話題になると大統領は急に声を荒げた。それまで穏やかな口調で話していたバイデン氏は、怒りを込めた声で「この国では、ほかのどんな死因よりもたくさんの子供が、銃弾で殺されている」のだと強調した。

「ここはアメリカ合衆国なのに。いったい我々は何をやってるんだ」とバイデン氏は続け、「この仕事を終わらせないとならない。あまりに影響力の大きい、重大なことだからだ」として、トランプ前大統領と「保守的」な連邦最高裁は銃規制対策を維持しないと批判した。

■ペース配分

バイデン氏は自分は就任以来、脳神経系の精密検査を3度も受けて合格していると述べ、加えて自分は毎日のように大統領として働く現場で検査を受けているようなものだと繰り返した。

「医師たちがまた検査を受けるように言うなら、反対はしない」とも話した。

トランプ前大統領との討論会で精彩を欠き、大統領としての適性が問題視されるようになって以降、夜間の執務を取りやめたと報道されたことについては、「それは間違っている」と大統領は反論した。

「毎日朝7時から真夜中まで働くよりも、もう少し上手にペース配分した方が賢明だ」という話だとバイデン氏は説明。それでも討論会後、自分の仕事量が減ったわけではなく、予定も相変わらずぎっしり詰まっていると述べた。

「私のスケジュールはいっぱい」だが、トランプ前大統領は討論会からずっと「ゴルフ・カート」に乗ってるだけだろうとも皮肉を飛ばした。

また前大統領と次に対決する前には、「15ものばらばらな時間帯を通過」して時差ぼけで臨んだりしないようにすると話した。自分は相次ぐ外国訪問による時差ぼけと風邪が重なった状態で討論会に臨んだと説明しているバイデン氏は、「ばかなミス」だったと認めた。

■会見を評価する声と撤退求める声

11日夜には、身内の民主党内から、バイデン大統領の記者会見内容を評価する声が出ると共に、撤退を求める声がなおも続いた。

テネシー州選出のスティーヴ・コーエン下院議員は、「このまま候補として続けるべきだと大勢を説得したと思う」と、会見後にCNNに述べた。

オバマ政権の住宅長官だったジュリアン・カストロ氏は、「マスコミを前にした重大な場面」でバイデン氏は「同盟国をまとめあげてNATOを守った」ことなどの手腕について「じょうずに話した」とたたえたものの、トランプ前大統領をどう破るのか道筋を明示しなかったと評した。

対して、バイデン氏に撤退を求めて日々増え続ける民主党議員の一人に、イリノイ州選出のエリック・ソレンセン下院議員が加わった。

ソレンセン議員はバイデン氏の記者会見後に「X」で「人生の大半を通じてこの国に尽くしてきた、善良な人」だと大統領をたたえたうえで、「バイデン大統領が大統領選から退くことを期待している」と書いた。

同様にカリフォルニア州選出のスコット・ピータース下院議員は「このままでは負ける」と記者団に述べ、「バイデン大統領に大統領選から退くよう求める」と言明した。

これに先立ちワシントン州選出のマリー・グルーセンキャンプ・ペレス下院議員に至っては、バイデン氏に選挙戦から撤退するよう求めるだけでなく、大統領の職をこのまま続けることが適切か疑問視する発言をしている。

(英語記事 ‘I’m the best qualified person’: Biden stands firm with re-election bid in peril)