印首相、5年ぶり訪ロ プーチン氏が取り込み図る

AI要約

インドのモディ首相がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する。ロシアのウクライナ侵攻後、プーチン氏はインドを取り込み、西側諸国の対ロ包囲網に対抗したい考え。

新興国はロシア不在の「平和サミット」で共同声明に署名を拒んだ。プーチン政権はロシアに融和的な国を増やし、ウクライナに圧力をかける外交攻勢を展開している。

インドはSCOなどでロシアと協力し、BRICS首脳会議の開催を控え、中印首脳の対話の機会となる可能性がある。

印首相、5年ぶり訪ロ プーチン氏が取り込み図る

 インドのモディ首相が8日、2日間の日程でロシアを訪問した。

 モスクワでプーチン大統領と会談する。モディ氏の訪ロは5年ぶりで、ロシアのウクライナ侵攻開始後は初めて。プーチン氏は、中立的な立場の伝統的友好国インドの取り込みを図り、西側諸国の対ロ包囲網にくさびを打ち込みたい考えだ。

 ウクライナが提唱した和平案を巡り、6月にロシア不在の「平和サミット」がスイスで開かれた際、インドなど新興国は共同声明の署名を拒んだ。今月5日、対ロ制裁を科す欧州連合(EU)議長国ハンガリーのオルバン首相も訪ロ。プーチン政権はロシアに融和的な国を増やし、ウクライナのゼレンスキー政権に圧力をかける外交攻勢に出ている。

 モディ氏は2019年、極東ウラジオストクで開かれた経済会議に出席。モスクワ訪問は15年以来となる。前回の印ロ首脳会談は、22年9月のウズベキスタンでの上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせて実施し、モディ氏は「今は戦争の時ではない」と苦言を呈しつつ、プーチン氏との良好な関係は維持した。両首脳は今年のロシア大統領選、インド総選挙後に電話で祝意を交換していた。

 インドはSCOなど西側諸国に対抗する枠組みでロシアと協力する。10月にロシア中部カザンで開かれる新興国グループ「BRICS」首脳会議のためモディ氏が再訪し、中国の習近平国家主席も参加すれば、19年以降に公式に会談していない中印首脳の対話の機会となり得る。