韓国の検事たちの乱【コラム】

AI要約

最大野党「共に民主党」による現職検事弾劾推進に立ち向かう検察の勢いが強い。検事たちがイ・ジェミョン前代表を標的とした捜査に関与していたことを理由に、検察は弾劾対象として名指しされた検事を擁護している。検察総長が率先して検事たちを奮起させ、検事たちは結束して対応しようとしている。

平検事会議は、検察改革や政府の方針に反発する検事たちが集まって行われる会議である。過去の会議では検事と政府との対話が試みられたが、検事たちの意志を表明する場としての役割も果たしてきた。

検察関連の政策に対して検察の立場を明確にする手段として平検事会議が活用されてきた。検察の立場を示すために検事たちが声明を出すなどの活動が行われている。

韓国の検事たちの乱【コラム】

 最大野党「共に民主党」による現職検事弾劾推進に立ち向かう検察の勢いが強い。弾劾対象として名指しされた4人の検事が民主党のイ・ジェミョン前代表を標的とした捜査に関与していたことを理由に、「イ・ジェミョン防衛のための弾劾」だと猛烈に非難してる。任期が2カ月しか残っていないイ・ウォンソク検察総長が先頭に立っている。以前の検察総長たちは、過去に似たようなことが起きた時、検事たちが興奮しないようにできるだけ言葉を慎んだが、イ総長は「相手が低級で卑劣に出てきても絶対に屈服するな」などの刺激的な発言をためらわない。彼は憲法に保障されている国会の弾劾訴追権行使に対し、検事に対する「職権乱用」であり「名誉毀損(きそん)」であると言った。ならば朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾は「大統領に対する職権乱用」だったのか。イ総長が内部の掲示板に上げた檄文(げきぶん)には検事たちの応援コメントが続々とついており、熱血検事たちは「平検事会議」開催などの集団行動で対応しようと声を強めている。

 平検事会議は、2003年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権発足直後、検察改革の観点から断行された検察の「期数に沿った序列を打ち砕く人事」方針に検事たちが反発した際に初めて開催された。「検事との対話」で知られる会議だ。この時は会議が行われたのはソウル地検(ソウル中央地検)のみだった。全国的な平検事会議は、2005年に司法制度改革推進委員会が刑事訴訟法の改正を推進した際に行われた。検事たちは、裁判で検事が作成した被疑者尋問調書を被告人が否認すれば証拠として使えないようにする改正案に強く反発した。検察調書が警察調書と同水準に扱われることが不満だという傲慢さの発露だった。この改正案は被疑者が検察による捜査で自白を強要されることを防ぐためのものだったが、検事たちの反発に押されて実現せずに終わった。結局、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2019年に、自由韓国党(国民の力)を除いた与野党の合意で国会で可決され、2022年1月1日に施行された。

 2020年には尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長(当時)の職務停止に反発した検事たちが、平検事会議を皮切りに連鎖的に声明を発表している。平検事会議は検察人事、検察と警察の捜査権調整、刑事訴訟法改正、最高検察庁中央捜査部の廃止など、政権が主導する検察関連の政策に対して、検察の反対意思を誇示する手段として用いられてきた。今年5月にキム・ゴンヒ女史の捜査を指揮していた検察の高位幹部たちに左遷まがいの人事が行われた際にも平検事会議が開催されるかに関心が集まったが、会議どころか検察内部の掲示板に抗議文すらも投稿されなかった。

イ・チュンジェ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )