奪われた未来、悲しみ今も 4人死傷飲酒ひき逃げ10年

AI要約

女性3人が死亡、1人が重傷を負った飲酒ひき逃げ事件から10年。被害者の家族の苦悩や悲しみが語られる。

被害者の娘は優しい性格で現実感がないまま亡くなってしまう。悲劇のシーンが描かれる。

検察が最終的に被告人に懲役22年の刑を言い渡し、家族は落ち着かない気持ちで苦しんでいる様子が描かれる。

 北海道小樽市で女性3人が死亡、1人が重傷を負った飲酒ひき逃げ事件から、13日で10年となる。29歳だった娘の石崎里枝さんを失った日出子さん(74)は、事件を信じたくないと「娘は無事」と考えようとしたこともあったが、できなかった。

 「娘の方がしっかりしていた」。札幌市で1人暮らしをしていたが、農家の実家を気遣い、アスパラガスの収穫を手伝いに帰って来る優しい娘だった。

 悪夢のようなあの晩。駆け付けた病院の霊安室で横たわる里枝さんは、まるで抜け殻のよう。現実感はなかった。

 検察が当初、運転手の男に適用したのは自動車運転処罰法違反の過失致死傷の罪。弁護士から法定刑は懲役7年以下と聞き、納得できず、危険運転致死傷罪への変更を検察に求めた。集めた署名は7万7千人分超。訴因は変更された。

 懲役22年の判決が最高裁で確定すると、現実が迫ってきた。里枝さんを思い出してつらくなり、アスパラの栽培はやめた。

 「ひどいことをされた。大事な娘を…」。飲酒運転が絶えない現状に「飲んだら乗るな」と小さな声に怒りを込めた。