【英国】英、スターマー新内閣発足 14年ぶり政権交代=総選挙

AI要約

英国で下院選挙が行われ、労働党が圧勝し14年ぶりの政権交代となった。労働党は412議席を獲得し大幅に増加、保守党は121議席と大敗した。

労働党のスターマー党首は首相就任演説で国家の再建を目指すと約束し、新内閣を発足させた。保守党のスナク首相は選挙敗北を受けて謝罪し、党首辞任を示唆。

スターマー首相は外交面でのデビューを控え、経済成長を最優先し増税を避ける方針を打ち出している。新政府はクリーンエネルギーの推進を目指し、NATO首脳会議で重要な役割を果たす予定。

【英国】英、スターマー新内閣発足 14年ぶり政権交代=総選挙

 英国で4日、下院(定数650)選挙の投開票が行われ、最大野党・労働党が圧勝した。スナク首相率いる与党・保守党は過去100年以上で最悪の惨敗を喫し、14年ぶりの政権交代となった。労働党のスターマー党首(61)は5日、首相就任演説で「変化はきょうから始まる」と強調。この日に閣僚を任命し、スターマー新内閣が発足した。

 労働党は412議席を取得し、改選前から210議席超の大幅増となった。保守党は121議席と200席以上激減。中道左派の自由民主党は、8議席から72議席に増えて第3党に躍り出た。改選前に第3党だったスコットランド民族党(SNP)は39議席減の9議席にとどまった。右派ポピュリズム政党のリフォームUK(旧ブレグジット党)は5議席、緑の党は4議席を確保している。

 リフォームUKは、得票率では14.3%と、自由民主党(12.2%)を上回り3位につけた。ファラージ党首は今回、初めて下院議員に当選。すでに次回選挙を見据えて影響力の拡大を狙う。一方で、労働党の得票率は33.7%と、敗北を喫した前回選挙とさほど変わらず、保守党は23.7%と20ポイント近く落ち込んでいる。

 スターマー氏は5日、バッキンガム宮殿でチャールズ国王から首相就任と組閣を要請された。就任演説では、「主義主張にとらわれず、国民に奉仕する政府を目指す」と強調。「国家の再建」に取り組むことを約束する一方、これには時間もかかるとし、国民に協力を求めた。

 保守党では、トラス元首相のほか、シャップス前国防相やチョーク前法相ら閣僚数人が議席を失った。スナク氏は選挙結果を受け、国民に謝罪。「有権者の怒りや失望を受け止め、責任を取る」とし、党首を辞任する意向を示した。

 ■リーブス氏、初の女性財務相に

 スターマー氏は5日、英中銀イングランド銀行での勤務経験があるリーブス影の財務相を初の女性財務相に指名した。労働党のレイナー副党首は、副首相兼レベリングアップ・住宅・コミュニティー相に就任する。外相にはラミー影の外相が、内相には影の内相を務めてきたクーパー元労務・年金相が指名されている。

 ■NATOサミットで外交デビュー

 スターマー氏は、経済成長を最優先し、財務規律を守って増税を避けると公約している。英議会が開会する17日には、チャールズ国王が政府の施政方針演説を読み上げる。新政府はこの中で、クリーンエネルギーへの転換に向けた国営企業グレート・ブリティッシュ・エナジーの設立などを打ち出す見通し。外交面では、9日に米国のワシントンで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が、スターマー首相のデビューの場となる。