EU議長国のハンガリー首相が独断で訪露 ウクライナ支援の先行き懸念

AI要約

ハンガリーのオルバン首相がロシアを訪問し、ウクライナ情勢を協議。欧州連合(EU)との足並みが乱れる可能性がある。

オルバン首相はプーチン大統領とウクライナ情勢について対話。ハンガリーはロシアとウクライナ両国との対話に積極的な立場を取る。

オルバン首相の親露的姿勢が問題視され、EU内で懸念が広がっている。EU議長国就任により、結束に影響が出る可能性もある。

ハンガリーのオルバン首相は5日、ロシアの首都モスクワを訪問し、プーチン大統領とロシアの侵略が続くウクライナ情勢を協議した。ハンガリーは今月、欧州連合(EU)議長国に就任したが、欧州メディアによると、オルバン氏の訪露はEU諸国の同意なしで行われた。以前から親露的な姿勢が問題視されてきたオルバン氏の独断専行は、EUのウクライナ支援の足並みを乱れさせる可能性がある。

会談冒頭でプーチン氏は「ウクライナ情勢であなたや欧州諸国の立場を聞きたい」と指摘。オルバン氏は「ハンガリーはロシア、ウクライナ両国と対話できる唯一の国になるだろう」と述べた。

訪露に先立ち、オルバン氏は2日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)でゼレンスキー大統領と会談。停戦して和平交渉を開始すべきだと提案したが、ゼレンスキー氏はロシアが停戦合意を順守する保証はないとして提案は受け入れられないとする立場を示した。

ウクライナ侵略でオルバン氏は早期停戦を訴え、EUのウクライナ支援案に拒否権を発動するなど親露的姿勢が目立ってきた。石油や天然ガスの供給で対露依存度が高いハンガリーのEU議長国就任には当初から、EUの結束に悪影響が出るとの懸念が出ていた。

オルバン氏の訪露に関し、EUのミシェル大統領は「議長国にはEUを代表してロシアと交渉する権限はない」と批判した。(小野田雄一)