中国資金で大統領官邸完成 「債務のわな」懸念も バヌアツ

AI要約

南太平洋の島国バヌアツの首都ポートビラで、中国の資金で新築された大統領官邸が完成した。同時に、財務省建て替えと外務省増築も完了し、引き渡し式が行われた。

バヌアツは中国に対する対外債務が多く、返済困難になるリスクから「債務のわな」に懸念が出ている。バヌアツ政府と中国は2018年に工事を合意し、費用は約25億バツ(約34億円)と推定されている。

中国は太平洋島しょ地域で影響力を拡大しており、バヌアツだけでなくソロモン諸島など他の国でも支援活動を行っている。オーストラリアのシンクタンクは、中国からの融資が進むとバヌアツの借金苦のリスクが高まる可能性を指摘している。

 【シドニー時事】南太平洋の島国バヌアツの首都ポートビラでこのほど、中国の資金で新築された大統領官邸が完成した。

 同じ枠組みで行われた財務省建て替えと外務省増築も完了。1日に引き渡し式が行われた。バヌアツは対外債務の多くを中国に依存しており、返済困難になって権益を握られる「債務のわな」を懸念する声も出ている。

 両国は2018年、バヌアツ政府中枢の一連の工事を中国が援助することで合意し、22年に着工。費用は約25億バツ(約34億円)と推定されている。現地報道によると、サルワイ首相は式典で「両政府の結び付きの強さを示し、42年間の外交関係を祝福するものだ」と述べた。バヌアツには行政トップの首相とは別に、国家元首のブロバラブ大統領がいる。

 中国は太平洋島しょ地域で影響力拡大を図っており、ソロモン諸島のスタジアム建設を支援するなど活発に投融資を進めている。オーストラリアのシンクタンク、ローウィー国際政策研究所は、バヌアツの対外債務の約4割が中国輸出入銀行に対するもので、「中国からの融資が進めば借金苦のリスクは高まる」と指摘している。