NATO、日韓豪NZと連携強化目指す…事務総長「中国が我々の価値観に挑戦」

AI要約

北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長が、中国の脅威をにらむためにアジア太平洋地域4か国との連携強化を目指す首脳会議を準備していることが明らかになった。

首脳会議では、ウクライナ問題やNATOの抑止力強化などが主要議題として取り上げられる予定であり、対中圧力の強化とアジア地域の安定のためにパートナーシップを深化させようとしている。

NATOは台湾危機には慎重な姿勢を示すが、現行のウクライナ支援策の見直しや加盟国の負担分担の仕組みを議論する姿勢を示した。

 【ブリュッセル=酒井圭吾】北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長が27日、本紙の単独インタビューに応じた。7月9日から米ワシントンで開催されるNATO首脳会議では、中国の脅威をにらみ、軍備管理や技術開発、サイバー攻撃対策で日本を含むアジア太平洋地域4か国と連携強化の合意を目指していると明らかにした。

 首脳会議の主要議題は▽ロシアに侵略されるウクライナ問題▽NATOの抑止力と防衛策▽日韓、ニュージーランド、オーストラリアのアジア太平洋地域4か国との連携強化――の三つだと明言した。

 NATOはウクライナ侵略開始後、専制国家への警戒から4か国との連携を深め、今回の首脳会議に各首脳を招待している。ストルテンベルグ氏は「NATOは中国を敵対国とは見なさないが、我々の価値観や利益、安全保障に対して挑戦をしかけている」と指摘した。中国は「台湾や近隣諸国、南シナ海を脅かしている」とも語った。

 ウクライナ侵略でも、ロシアは中国の最新技術や電子機器の輸出で支えられ、無人機やミサイルを製造しているとし、「中国が、欧州にとって第2次世界大戦以来最大の戦争をあおっている」と批判した。対中圧力の強化とアジア地域の安定のため、「(4か国との)パートナーシップを内容あるものにする必要がある」と述べ、具体的な協力策を深化させる見通しを示した。

 ただ、台湾危機が実際に起きた際の具体的な行動には「NATOは北米と欧州の同盟としてあり続ける」として慎重な姿勢を示した。昨年にはNATOが東京に連絡事務所を設置する案も出たが「今回の首脳会議でも決定することはない」とし中国に過度な刺激を与えたくない本音ものぞかせた。

 加盟国が独自に決めている現行のウクライナ支援策については「加盟国が負担を公平に分担する制度があれば長期支援につながる」と述べ、首脳会議で仕組みの見直しを決めたいとの意向を示した。