【文化中国】古い北京の趣きを残す新しい鳩小屋

AI要約

北京の観光名所である鼓楼周辺には外国人観光客が増加しており、歴史的な風景や北京の伝統的な文化を楽しんでいる様子が伝えられている。

北京の鳩笛文化について紹介され、鳩小屋の歴史や新たなデザインに関する取り組みが述べられている。

鳩笛を通じて北京の独特な雰囲気や伝統を感じることができ、地元政府や専門家の努力によって伝統文化の保護と継承が進められている。

【文化中国】古い北京の趣きを残す新しい鳩小屋

【東方新報】最近、中国のインバウンドツアーが大人気で、「観光名所はどこも外国人であふれかえっているよ」と中国のネット民の投稿が相次いでいる。

 故宮(紫禁城、Forbidden City)の北辺の池・什刹海(Shichahai)の傍らに建つ「鼓楼(Gulou)」は、外国人が多く集まる観光スポットだ。鼓楼に登ると、北京の中軸線に沿って広がる旧市街を見渡すことができる。赤い壁と黄色い瓦の古くからの宮殿建造物、緑のレンガと灰色の瓦の北京の歴史的な住宅建築「四和院(Siheyuan)」、北京の庶民の伝統的な軽食「豆汁焦圏(豆の発酵スープと揚げリング)」のにおいが漂う「鐘鼓楼(鐘楼と鼓楼の総称、Zhonggulou)」、青い空と白い雲の中を飛びまわる鳩の鳩笛。これが古くからの北京城(街)の歴史的な風景だ。

 いわゆる鳩笛とは、鳩の尾羽の付け根につける笛の一種だ。鳩笛は、二つの哨笛(しょうてき)だけのシンプルなもの、三つの哨笛を連ねたもの、七つの哨笛を星形に組み合わせた複雑なものと、様々な種類がある。

 鳩の群れが、あるいは高くあるいは低く、あるいは遠くあるいは近くを飛びまわる時に、鳩笛を通過する気流の変化によって、音色も様々に変化する。

 時には高い音程、時には低い音程で、時には強く時には弱く、空中でシンフォニーを奏でる。

 鳩笛は北京の古い住宅「四和院」のトーテム(家や一族を象徴する動物や植物をデザインした装飾柱)のようなものだった。かつて、北京の旧市街の伝統的な路地「胡同(Hutong)」に面する多くの家が鳩を飼い、鳩笛を装着してその音色を楽しんでいた。

 しかし、北京の人口が増加するにつれ、旧市街の広々とした「四和院」の明るい中庭は、せまく密集した雑居住宅と化し、中庭にあった鳩小屋は家の屋根に移らざるを得なくなった。緑色のレンガと灰色の瓦の上には、大きく背の高い鳩小屋が作られ、持ち主の好みで青、灰色、白などさまざまな色に塗られ、ひときわ目を引いていた。

 かつて中国20世紀の著名な建築家・梁思成(Liang Sicheng)は、北京の中軸線に沿って広がる北京の市街を「北京独特の壮麗な秩序は、この中軸線によって生み出された」と称賛した。

 しかし、旧市街の鳩小屋のさまざまな形や色は、「鐘鼓楼」から中軸線を見下ろす街の景色に一定の影響を与えている。そして、その鳩小屋もまた、ちょっとした存続の危機を迎えている。

 地元政府は3年前、「鐘鼓楼」周辺の建物の「第5立面整備プロジェクト」を立ち上げた。「第5立面」とは建物の屋根のことだ。屋根の景観整備において、鳩小屋を残すか改造するかが大きな焦点となった。

 このプロジェクトの設計責任者である清華大学(Tsinghua University)建築設計研究院文化遺産保護センター計画処の龐書経(Pang Shujing)処長は大量の歴史資料を検討した結果「ハトは中軸線の『原住民』で、『鐘鼓楼』の軒や角はかつては野生の鳩の楽園だったので、今後も鳩を留まらせるための新しいすみかを作る必要がある」と述べた。

 設計者にとって、新たな鳩小屋は古くからの景観である中軸線の回廊と調和し、かつ鳩の飼い主の要求を満たし、美的で実用的でなければならないという大きな挑戦であった。

「屋根の棟(とう)より高くせず、屋根面をはみ出さない」という規則を守るため、最初に試作した鳩小屋の高さはわずか1メートル40センチしかなかった。 1メートル40センチでは大人が中に入るには不便だし、掃除もしにくい。

 龐処長は、飼い主たちが満足する鳩小屋を設計するため、鳩の飼育に詳しい史(Shi)氏から飼い方を学び、多くの飼い主たちと一緒に新しい小屋を設計し、5回の試作を経て、最終的に史氏が満足する設計図を完成させた。

 新しいデザインにはグレーの金網製が使われ、屋根は伝統的な住居の屋根の形に合わせたグレーの傾斜屋根となっている。「鐘鼓楼」の上に立って市街を眺めた時に、鳩小屋は周囲の四和院の屋根に溶け込み、もはや場違いには見えなくなった。

「一戸一件」の個性化プランの下、「鐘鼓楼」周辺の四和院にある鳩小屋は、新しい姿形を与えられ、北京伝統の鳩笛の音色はそのまま残されている。夕方になると、鳩の群れが「鐘鼓楼」の周辺を旋回し、鳩笛の幽玄な音色とともに、この周辺だけの独特な北京の風情を残している。(c)東方新報/AFPBB News

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。